所謂、上司
まるで転んだ子供を相手にするように、少し擦れた声が何度も何度も
「大丈夫?ハルト、痛くない?」
なんて尋ねてくるから、ぼんやりと熱に浮かされた思考に溺れながらも笑ってしまう
きっと彼は俺に気遣って眉間に慣れない皺を寄せ、心配してくれてるんだろう
だけど生憎、潤んだ視界で彼の表情は伺いきれず予想でしか無いんだけれど
ただただお腹が重くて、この圧迫感から早く解放されることを祈っていた
普段は排泄にしか使われない器官を、女性のそれのように使おうだなんて誰が考えだしたのか
クダリさんのものが遠慮がちにゆっくりと、しかし着実に奥へと俺の中を押し広げ納まっていく
内臓が押し上げられて、肺が潰れて息が出来ない感覚がした
「…あふっ」
どうにか力を抜こうと息を吐くと入り口が弛んだのか、一気にクダリさんのが奥を突いた
思わず歯を食い縛るとぎりりと嫌な音が鼓膜を直接揺らし、目を瞑る
クダリさんが可愛いと呟いた
クスクスと笑われる度に起こる小さな揺れがダイレクトに腰に響いて、さらに歯を食い縛る
「……っ」
出そうになった声は噛み殺され、短く詰めた息だけが抜けた
俺にだってプライドがあるわけで、女みたいにただ鳴かされるだなんてごめんだ
生憎、可愛い部下じゃねーんだよ俺は
「ハルトの中、きっつい!ねぇ全部入ったよ、聞いてる?ハルト」
クダリさんは俺を見下ろしてご機嫌らしく、鼻歌でも歌いだすのでは無いかと思うくらい声が弾んでいた
俺は彼の呼吸の度に繋がっているところが疼いて、こんなに翻弄されてるのに
「ハルト、さっき笑ってた。余裕?」
鼻先が触れ合うほどぐっと距離を詰められ、彼が俺の上に覆いかぶさる
奥にグリグリと当てられるそれに不規則な快感与えられ、堪え切れず何度も腰が跳ねた
なんだか悔しくて唇を噛もうとすると、口内に手を突っ込まれ、余った片手で先程から雫を溢していた竿を握られる
至近距離の瞳が意地悪く歪み、答えろと催促していた
「っあ……転んだ人に…かける、言葉みたいだったから」
ゆるゆると握ったり上下に擦られながら、なんとか言葉を紡ぐ
思い当たる節がなかったのか、何が?と問われ、入れる時とだけ答える
律儀に答えてやるだなんて、フェアじゃない
俺が一々彼に掛けられた言葉で一喜一憂してるみたいで、ほんとフェアじゃない
「転けても、ハルトじゃなきゃ本気で心配しないかも」
あとノボリくらいかな。とついでのように付け足された名前をしっかりと聞き取る前に、目の前に迫った舌が目尻を舐めとる
口から引き抜かれた骨張った指に、唾液が糸を引いて絡み付いてゆっくりと切れた
「ハルト、煽るの上手」
「…?」
脈絡もなくニンマリと口を横に裂けさせながら言われ意味がわからずに見上げると、ゆるゆると動かされていた手が止まり、先端を親指で引っ掻かれる
唐突に襲ってきた強烈な快感に頭が真っ白になり、目の前がチカチカした
「僕もぅ限界」
「……!…ちょっ…ひっ……いき、なり…っん!ぁぁ!」
俺の中を深く抉り、一気に引き抜いてはまた奥まで突き刺さる
良い所ばかりグリグリ刺激されると同時にお互いの体に挟まれたそれを押し潰され、声を押さえることなど一切許されない
「ハルト、強がってるけど泣き虫さん。だから苛めたくなっちゃう」
生理的に浮かんだ涙を舐めとりながらの行為に似合わない楽しそうな声色が、考えるのを止めた頭の中でぐるぐる回る
「………クダ、リ…さん……もぅだめ……っっ!!!」
呆気なく白濁を吐き出すと、後ろを締め付けてしまったのか、クダリさんはくっと短い呼吸を吐いた
普段は緩んだ唇を結んで、上気した頬と少し水気の多い切れ長の瞳で見下ろされる
えっろい顔
「ほら、ハルト。ちゃんと、飲んでねっ」
「〜〜〜っ」
思わず見惚れていると、優しく笑ったクダリさんのものが大きく跳ねて、体内に温かい何かが広がっていく
「ちゃんと飲めたね。えらいえらい!」
優しく頭を撫でられてか、強烈な眠気に襲われる
体内のそれをそのままに、クダリさんに自分から一度だけ唇を重ねて、目蓋を閉じた
…その後すぐに叩き起こされ、ほんとに気絶するまでやられたんだけど
見事に腰が砕けて、しかも痛くて少しも動けない
「クダリさんの馬鹿!今日が休みだからよかったけど」
水を持ってきてくれたクダリさんに思わず怒鳴ると、僕それくらい計算済みとにっこり笑われた
どうにか仕返ししてやれないかと思考を巡らしていると、不意に影が差し、両耳を掠めて彼の両腕が置かれベッドを軋ませる
恐る恐る見上げると、天井を背にしたクダリさんがニヤニヤと口元を歪めて見下ろしていた
「ハルト、もう一回しようか?」
ごめんなさいもう勘弁してください。と必死で謝る
所詮下っぱは、ボスに勝てなどしないのである
☆
私の人生で2番略
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[mokuji]
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