隣町まで、仕事人!

久しぶりのまともな休み

「ひゃっほー!」

『うわぁぁぁぁぁい!!』

『ちょっといい加減にしなさぁぁぁぁい!!』

久しぶりに自転車にまたがり、隣町のヒウンアイスを食べるべく走る

前の籠に納まったふぅすけは風に煽られて楽しそうに、肩に乗ったメロリスは泣きそうに叫ぶ

アーリズが俺の真上を飛び、時々回転してみたりとアクロバット飛行をするたび、周りで通り過ぎる人が沸いた

『おい、メロリスが飛んでいく前にスピードを落としてやれ』

「ん?おっと」

ボールの内から訴えるようなオズの声を聞くと同時に、手が離れたメロリスを片手で捕まえ、上に投げる

『いやぁぁぁぁ』

「アーリズ!」

『OK』

悲鳴を上げながら上空に舞ったメロリスを、アーリズが背中で捕まえる

「さすがだな」

『もぅ馬鹿!僕を殺す気なの!?』

「そう怒るなってメロリス。」

『マスター、女の子苛めちゃダメ』

「わかったよアーリズ。悪かった」

咎めるように鳴いたアーリズが、少し先に行き地面に降り立つ

「あ、あそこか。」

自転車を止め、目的の店に入る

「すんませーん。ヒウンアイス7つ、全部トリプルトッピングありで」

可愛かった店員さんの笑顔が引きつった

「ちなみに、お持ち帰りでねっ」

店の入り口で、店員さんの顔を見たアーリズとメロリスが吹き出した

僅かに騒がしくなる店内

ちょっと申し訳なく思いながらも待っていると

ボールが一つ、勝手に開いた

うーんと伸びをしながら現れたバクフーンに、店内の視線が集まる

この地方では珍しいから当然か

威風堂々と二本足で地を踏みしめ、何かを伝えるように俺を見た紅の瞳

「何、どうした?」

『重いでしょ?』

持ってあげる。と手を出して、顔を逸らす姿が可愛すぎて困った

一緒に出ていてくれたサクマの体毛をモフモフしながら待つこと暫し

途中、照れたサクマに押し退けられたり髪を焦がされたりしたなんて言わない

「お待たせしました」

『持つよ』

「ありがと、サクマ」

ヒウンアイスを受け取り、お金を渡すと、サクマがアイスを持ってくれた

「溶かすなよ」

『わかってるよ、意地悪』

「冗談だって」

店を出て、近くの噴水まで歩く

ふぅすけとメロリスは自転車の籠とサドルで、先にアイスを舐めている

いい身分だな

『いいな、マスター、俺も食べたい』

もう少しだけ我慢しろよと伝えると、アーリズは甘えたように近づいてきた

「後でちゃんと食べさしてやるよ、もちろん兵長もな」

カシャンとボール内で音を響かせた



「俺のアイスが溶ける…」

噴水に腰掛け、両手にヒウンアイスを持つ

一つは手の使えない兵長に、もぅ一つはアーリズの口に運ばれている

あれ、手が足りないよ

ちなみに、俺の膝でお子さま組のふぅすけとメロリスは、ウトウトしている

サクマもオズも自分の分のアイスを舐めていたが、何を思ったのか、オズは俺の分のアイスを持ち、こちらに向けた

「何?」

『食べろ。溶けるだろ?』

「ま、まぁ」

パートナーの気遣いは嬉しいが、羞恥心が上回ってくる

「オズ、やっぱり後で…」

食べる。と言いたかったが、逆行を受けた巨体から出る威圧感に勝てなかった

『どうした?』

「いや、いただきます」

口を開け、アイスを迎え入れる

少し溶けてはいたが、有名なだけあっておいしい

妙な格好の俺を見て、サクマがニコニコ笑っているのが非常に気になるのだが


☆☆☆
「クスクス、何あれ」
「トレーナーかな、可愛い」
「…………。」
『どうした?顔が赤いぞ』
「オズ、新手の羞恥プレイだ」

☆☆☆
パートナーは鬼畜属性
サクマはツンデレ気味

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