負け無しだよ、仕事人!

正直、バトルは苦手

どっちかと言えば、育成なんかのほうが得意で、それがコンプレックスだったりする

だからって、バトルに負けると手持ち達が可愛そうだろ?

だから色々知識付けているうちに、『廃人』なんて言われた時期もあったけど

まさかそれが役立つ職に就くとは誰が思ったものか

「狂助!なんか見たことないポケモンが暴れてる!」

「だから狂助言うな」

ベンチから腰を上げ、飲み終わった缶を後ろに投げる

『ナイスショット』

「お、さすが俺」

肩に乗ったメロリスが笑顔で手を挙げたため、缶がゴミ箱に入ったらしい

駅員仲間に案内され、シングルトレインのホームに行くと、ゴウカザルが暴れていた

「くそっ、ダストダスの気合い玉で3縦なんて!」

とトレーナーだろう男の声

ダストダスと聞いて、浮かんだボスの姿

あの人、実力もだが運も強すぎるんだよな

ゴウカザルが口から炎を吐き出す。なるほど。

「あぁぁ、派手にやってやがる」

悲鳴や逃げ出す人たちに逆らって近づき、ふぅすけのボールを投げる

『えぇぇぇぇ、僕草タイプだよぉぉ!?行きたくないよぉぉ』

非難の目線と嫌そうな鳴き声

安心しろっての

「ふぅすけ、追い風からアンコールだ」

『ふぇぇぇ』

泣きそうな顔でゴウカザルに向かっていくふぅすけ

メロリスが不安そうに鳴く

俺ってそんなに信頼ないかよ

「ふぅすけ、お前のほうが早いし当たりやしないから安心しろ。甘えるだ!」

『はぁい!』

ゴウカザルの攻撃力を下げながら逃げ回る

性格の悪いバトルだという自覚はしているが、勝てたら良いんだよ

『ねぇ、本当に大丈夫なの?』

ハラハラとしているのか、俺の髪を握りながら鳴くメロリス

そんな彼女を撫でてやりつつ声を掛けてやる

「大丈夫だって。あれは格闘タイプ。炎タイプもあるけど、さっきオーバーヒート使ってただろ?」

『なるほど、それでアンコールね』

「そゆこと」

オーバーヒートは強力で威力の高い技。炎技だし、エルフーンとは相性が悪い

だが、使うたび特殊攻撃が下がるという効果付き

追い風で素早さを上げたふぅすけは、アンコールの効果で強制的に繰り返されるオーバーヒートを軽々躱している

「もぅいいぞ、ふぅすけ!とんぼ返り」

『はぁい』

ゴウカザルに攻撃してから戻ってきて、そのままボールに納まるふぅすけ

それに代わって出したのは

「行ってこい、アーリズ」

『OK、頑張る』

アーケオスのアーリズ

特性も相まって可愛い奴

こいつを出すために、攻撃の威力を下げさせたのだ

「ホームを壊すなよ。アーリズ、アクロバット」

『OK』

一発でゴウカザルを倒して狭い天井の中飛び回るアーリズは楽しそうだ

「さて、お客様。ボスは私より実力がございます。私に勝てるようになってから出なおしてください」

一度負けた程度で暴れるようでは実力も知れていますが。

そう告げるとメロリスは耳元で笑い、アーリズも小さく吹き出した

「とっとと賞金おいてお帰りください、お客様。」

狂助コールと疎らな拍手を聞きながら、相手トレーナーの舌打ちを聞く

「だから、きょーすけよぶなっつの」

バトルは苦手、負けるのも嫌だ

だけど、勝つのは嫌いじゃない

☆☆☆
「ノボリ!狂助、またバトルして、勝ったって」
「また勝ち、でございますか」
「狂助とバトル、羨ましい。僕も早くしたい」
「次の休みが楽しみでございます」

☆☆☆
バトル嫌いなバトル狂
仕事が出来るサボり魔

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