遠くと会話と手足

がちゃ。と軽い小さな音でも、澄んだ朝の空気には良く響いた

ちりじりになって逃げていくミネズミ達と、ゆっくり立ち上がったNの視線を受け、肩をすくめる

なんだか居たたまれない

きっと手持ちは窓際に張りついているだろう

だって、僕の部屋あたりの頭上がガタガタと騒がしいもの

恐らくジャローダは呆れた顔で、僕に何らかのエールを送ってくれているんだろうなと考えると、背中が暖かいようなこそばゆいような…

「おはようハルト」

笑顔で挨拶をしてきたNに、こちらも何でもないように挨拶を返す

「おはよう、N。早起きなんだね」

「なんだか目が覚めちゃって」

するすると続いていく会話が嬉しい

いつかに比べ、幾分か優しくゆっくりと話すようになったと思う

「彼らとは何話してたの?」

遠巻きにこちらを見ているポケモン達を見てみる

彼らもこちらを見て、何やら話している

残念ながら、彼らの会話は僕の耳まで届かない

Nは彼らが何を話しているのか、見当が付いているハズなのに

「内緒、かな」

と、緑の髪を揺らして笑った

「意地悪になったね、N」

「あ、ハルト、前のこと根に持ってたの。」

「さぁね」

足元のまだ露を乗せた草を踏みしめて、Nに近づく

離れない。ただ歩く分だけ近付く

そんな当たり前のことに何故か安心した

そっと手を伸ばして、指を絡ませる

「わ、Nの手ぇ冷たいっ。早く部屋に戻るよ」

「ハルトの手は暖かいね」

「心が冷たいからね」

「ふふっ」

手を繋いで、家に足を向ける

「あれ、N裸足じゃん」

「あぁ、彼らの声が聞こえて慌てて外に出たから」

「大事なトモダチだものね」

僕の何の意識もしてない発言に、首を傾げたNが

「ハルト、君もだよ?」

と事もなげに言ったのが嬉しくて

手を強く握ると、当たり前のように握り返された


☆☆
『じれったい』

そうジャローダが呟いたよこで、他の手持ちが笑ってたとか



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