海と影と追っかけ

この地方はほとんど巡ったと思う

幼なじみとチャンピオンが警察へ渡したはずのゲーチスは、例の影三人の手を借りて逃げ出したらしい

イッシュを廻るついでに行方不明となった七賢者も見つけ、彼らに問いただしたところ、僕とNが別れてから一度も出会っていないという

もとより期待していなかったとは言え、七人目に蛇睨みと宿り木の種かましたジャローダを止めなかった僕は悪くない

なんだか変な自称ハンサムとかいう国際警察に止められなかったら、近くの滝に落としたかもしれない

七人も居たのだから、一人くらい情報を持っていても良いんじゃないかな?

「って僕は思ったけど、どう?」

『覚悟してたでしょ?ハルトは相変わらず馬鹿だね』

他地方の女性チャンピオンとのバトルに勝った後、海辺を歩きながらパートナーを見る

砂浜でもしなやかに進むジャローダは、笑っていた

心底意地の悪い顔で

『君が諦めないんだからダメなんだよ、ハルト』

「…諦めそうになるたび、ミネズミやヨーテリーの相手をしに君の家へ帰るつもりなのかい?って蛇睨みされた僕の身にもなって」

そりゃあ悪かったね。と言いつつ楽しそうな顔が悔しい

その顔を見たくなくて足元の砂を蹴りあげていると、巨大な影が一瞬で通り過ぎた

鳥ポケモンか、はたまた巨大な虫ポケモンか

なんて思いながらなんとなく空を見て、勢い良く走りだす

足を取られる砂が邪魔くさくて

「ジャローダ、戻って!レシラム!」

人目も気にせず白い龍にまたがる

空はいつかと同じ、綺麗な青のまま




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