再会とバトル

観覧車を降りてN様と別れてしばし、見知った顔が不機嫌そうに道を塞いできた

「あなたは何者なんですか」

あの怪しい人と一緒に居たでしょう?

そうチェレンはこちらを睨む。まぁまぁ威勢のいいことで

きゃっきゃとはしゃぎ通り過ぎる子供を横目に見ながら、首を傾げる

頭をぼりぼりと掻きながら

「あー、言わなきゃダメ?」

なんて言ってみたら、特性威嚇みたいな顔して口を結ぶ

「………。」

おぉ、これはかなり不満そうだなチェレン少年

だって、ただのポケモントレーナーですって言っても信じてくれないでしょ?と聞いてみたら当然です。と即答されてしまった。

嫌われすぎじゃね?俺なんかした?

仁王立ちで通してくれなさそうな少年を見下ろし、しばし思案

面倒だな

「んー…勝ったら教えてやるよ。どう?」

「メンドーだけど、わかり易くていいんじゃないですか?」

意外にも乗り気でチェレンは頷く。面倒ってところは気が合うな

僕は負けませんよ?と眼鏡を上げ自信満々に宣言してきた

「悪いが、俺のポケモンは強いよ」

バトルが出来る場所を探す背中を見つめ、自然と緩む口角を隠す

久々に少しだけ楽しめそうだ



遊園地の中にある小さな広場に、距離を空けて対峙する

「クリーム。久々に遊ぶぞ」

『---!!』

「頼んだよ、レパルダス!」

『---。』

互いのポケモンが地に降り立つ。ざっと見たところ信頼関係はまずまずと言ったところか

「先攻はどうぞ?」

「…どうも。レパルダス!挨拶替わりに猫騙し!」

レパルダスが勢い良く駆け出し、飛び上がる

パチン!と空気の爆ぜる様な音が響いた。猫騙しは必ず怯ませる効果がある

クリームも例外でなく、仰け反ってしまっていた。その間に距離を開けたレパルダスは、軽やかに着地する

レパルダスに追撃を指示するチェレンの声が聞こえた。うちのクリームを嘗めてもらっちゃ困るな

再び駆け出したレパルダスを目で捉え、クリームが体勢を整える。猫騙しはほとんどダメージになってはいない。

「行けるな!クリーム!」

『---!!!!』

「逃がすな!そのまま押さえ込め!」

クリームを引っ掻こうとした前足を掴み、そのまま押さえ込む

そのまま体を押し付けると、レパルダスがズプリズプリとクリームの体に沈んでいく

ベトベトンののしかかりなんて、毒沼に沈むようなものだ。一応あとでモモンの実は渡してやろうとは思う

「レパルダス!?」

チェレン少年が慌ててボールを取り出すのを見て、クリームがレパルダスを開放してやる

レパルダスはぐったりとして目を回してしまっていた

赤い光がレパルダスを包み込むのを見ながら、ポケットから取り出したモモンの実を投げてやる。チェレン少年は、不服そうだが素直に受け取った

「勝負ありだな。次は?」

「…!ハトーボー、任せた!」

羽ばたきながらボールから飛び出たハトーボーを、クリームは楽しそうに見つめている。そういえばクリームは飛んでるものがわりと好きだった気がする。よくわからないが。

今回も先行を譲る。チェレン少年は癖なのかメガネに触れながら指示を出す

「エアカッター」

「小さくなる!」

ベトベトンの、消してい小さくは無い体が視界から消える

クリームの種族はあまり足が早くないが、その分耐久に割と優れている。その上補助技も豊富で、相手を状態異常にしたり自らの能力を上げたり様々な戦術に特化させることができる。

物理技が主流ではあるが、特殊技の威力が低すぎるわけでもない

一見してどう育てたかわからないのが強みといえようか。一言で言うなら『ハマれば強い』

クリームは技を外して動揺したハトーボーを既に右手を伸ばし捕まえているところだった

「火炎放射」

『----!!』

近距離から炎を浴びせられ、ハトーボーはあっという間にK.O.

所々から煙と焦げ臭さを漂わせながら、ぐったりとしている。…一応、クリームも手加減はしたと思うのだが

チェレン少年の視線がとてもとても痛い

「えっと、次はどうする?」

ハトーボーは赤い光に包まれて、彼の手元のボールへと収まる

チェレン少年はまた新たなボールを構えてこちらを睨む

苛立ちと焦燥感の混じる視線が、僅かに憎しみを滲ませる視線が突き刺さる

何処かで見た目だなぁと、呟いた声はバトルの騒音にかき消された





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