コンクリートロード

砂漠を抜け、コンクリートを踏み締める

ズッポリと歩く度に砂にめり込んでいた砂漠と違い、しっかりと整備された道路はもちろん沈んだりしない

安定した地面がこれほどまでに愛しい物だったとは思いもしなかった。もう砂漠は懲り懲りだ

砂を払い、靴を脱いでひっくり返す

さらさら流れ出て、小さな山を作る砂を眺めてしばし

「風呂入りてぇ…。」

靴もそうであるが、砂嵐の吹き乱れる中を帰ってきた為至る所からサラサラとした物が落ちてくる

もうこれはあれだ。知らん

いちいち払い落とすのも面倒で、軽く頭を振ると砂が舞った

「…………。」

どうせライモンまで歩くのだ、その間に幾分かは落ちるだろう

まるで水に濡れた後のように身体をふるふると揺すって砂を飛ばしていたレントラーと、普段通り変わらないマスカットに声をかけて歩き出す

2匹とも大して疲れている様子が無く、普段通りに付いてくる

なんつーか、流石にタフだよな。

こちとら明日には、変な歩き方をしたせいで筋肉痛になること間違いなしだ

遺跡内の暗闇と道中の砂漠は、肉体だけでなく精神にも多大なダメージを与えてくれたしな…マスカットは暗闇でも関係なく楽しんでいた様だが

もう悲鳴やら何やらを聞くのはゴメンだ。フェードアウトした野生ポケモン達は大丈夫だったんだろうか

まぁそれはさておき、なんで同じだけ移動したにも関わらずこいつらはこんなに元気なんだろうかね…自分の運動不足を棚に上げて後ろの二匹を見る

よっぽど疲れた顔をしていたのか、目が合ったマスカットが荷物を持ってくれた。

そんなつもりじゃ無かったんだが、ありがたいのでパートナーに甘える

物資を運搬する車の行き交う橋の下をくぐり、バトルを仕掛けてくるトレーナーをレントラーで瞬殺しながら進む

次の目的は娯楽の街、ライモンだ

他のプラズマ団員より多分働いてんだ、筋肉痛がとれるまでゆっくり遊んでもいいんじゃなかろうか

「つーか、遊ぶし。マスカット、観覧車でも乗るか!」

『---!!』

目をキラキラさせてはしゃぎ、すごい勢いで飛び回り初めたマスカットを捕まえてレントラーを見ると、無表情でおすわりをしていた

なんだその感じ

「お前も一緒に乗るぞ」

もちろんクリームもな!と続けると、レントラーに飛び付かれた

突然のことに衝撃を受け切れず、レントラーに押し倒される様に道路に倒れ込む

ボールから出て来たクリームも追加でのしかかって来たため、潰される形となった腕の中のマスカットが呻いていた

なんだかんだで、みんな観覧車に乗りたかったらしい。大人しいクリームまで飛び付いてくるとは意外だった

焼林檎もいれば良かったのにな、なんて考えながらみんなの頭を撫でる

手持ちと団子状態というのは、中々に擽ったい状況だ

だがな、お前たち

お前達の体重も荷物の重みも全部俺に掛かっているんだが



☆☆☆
『ところで、かんらんしゃってなーに?』
『え?』
『……。』

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