愛を強いる

☆あてんしょん
・ぬるいSMもどきあるよ
…OK?




カツン。と頭上で堅い床を鳴らすヒールの音がした

床に手と額を付けた私には見る術がないためわからないが、おそらく靴のつま先は私に触れるか触れないかのギリギリの位置にある

彼の性格から考えれば踏むつもりは最初からなく、威圧のために振り下ろされたのだろう

何の脈絡もなく土下座をしろと強要した上司…インゴボスは、こちらが言うとおりにしたにも関わらず舌打ちを零す

「ナガレ、あなたには…」

あなたにはプライドというものがないのですか。と平坦な声が落ちてきた

少しだけ上体を起こすと、すぐ目先に靴がある。別に踏まれても良かったのに

彼と視線を合わせるために顔を上げると、不機嫌そうに眉間にしわを寄せたインゴボスが威圧的に見下ろして…見下していた

「プライドはあります」

インゴボスの眉がピクリと動く

腕を組んだ彼は無言で一歩前に踏み出す。詰められた距離の分だけ首を上げなければならず、少し痛みが走った

端から見れば、私が彼の足に縋り付いているように見えるだろうか。

まぁ彼につれられてきた地下のコンクリートに囲まれた小さな一室には私たち以外誰もいない。…唯一の光源のシャンデラは別として

線路脇にこんな個室があるなんて、恐らくボス達しか知らないだろうし…

「私にとって守るべきプライドは、バトルに関することと我らがサブウェイに関することです」

「…私にこのようなことを強要されても、ナガレは何も感じないと?」

「インゴボスが満足するのであれば」

いくらでもしますよ。

笑みを作り立ち上がろうとすると、肩に何かが置かれた

それを確認する前に、肩を力任せに押され後ろ倒れ込む

その際に打った頭が鈍く痛んだ。血は出てないと思うが、しばらく動く度に響きそう…

インゴボスは持ち上げていた片足を下ろし、私の頭側まで足を進めてすぐ側で屈み込んだ

今更だが、肩に乗せられたのは彼の足だったらしい。それで蹴り飛ばされたのか

「ナガレ、もっと私を満足させなさい」

インゴボスは眉間に皺を寄せたままだったが、少しだけ先程よりも声のトーンが上がっていた

「これくらいで私が満たされるわけがないでしょう?ナガレ」

あなたの全てを私に捧げなさい。私に服従し、私の側にずっと居なさい

「出来ますね?」

クスッとほんの僅かに頬を弛めたインゴボスは静かに立ち上がると、ヒールを鳴らして遠退いていく

カツン、カツン、と軽やかに一定のリズムを刻んだそれを止めて、部屋の端に積まれていた木箱に腰を下ろした

起き上がる私を見つめながら足を組み、イタズラを思い付いた子供のように笑う

足首を上下に動かしながら口を開いた

「ナガレ、こちらに来なさい」

命令に無言で従うと、お座りとポケモンに言うように指示される

目の前を彼の左足が上下していた

「何をすればいいかは」

わかりますね?と問われた声は、驚くほど優しく穏やかであった

「インゴボス、私は先程、守るべきプライドはバトルに関することと我らがサブウェイに関することと言いましたよね」

インゴボスが満足されないと、私のプライドは守られません 。そう告げると、小さく息を吸う音が聞こえた

少しだけ目を大きくしたインゴボスのブーツと靴下を脱がし、日に当たることも少ないのだろう白く艶やかな足の甲に口づける

「インゴボスの為ならば」

何でも致します

彼の足先を含み指の間に舌を這わせると、それでいいのですと満足そうに笑みを深めて彼は言った

ほんの少しだけ、汗に含まれる塩分であろうしょっぱさの他に、なんとも言えぬ甘味が舌先を痺れさせた



☆☆☆
インゴさんはヒール付きのブーツを履いてるイメージなのでそのままに
丁寧なのに威圧的なのがいい…
…踏まれたかったんだけどおかしいな。

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