女王主義が嗤う

サーカス組の奴らは喧しくて適わん

園長も喧しいが、あれは勝手に遊んでいるだけだから別に良い。俺を巻き込まないもの万歳

華ちゃんが何かをひっくり返して騒音を立てるのにも慣れた

しかし、こいつに慣れることは多分無いんだろうと、下がってきそうな瞼をなんとか持ち上げながら考える

俺は何故か、犬に手を無理矢理持ち上げられていた

「ねぇわんちゃん!ちゃんとお手して!悪い子!ちゃんとしないの悪い子だよね鈴木!」

「…うーん」

「鈴木さん、こいつ俺に喋ってんですか、鈴木さんに報告してんですか」

「あなたに言っているの!私のこと無視しないで!ね、鈴木!」

「すまんな…」

「いえ…」

きゃんきゃん周りで吠えたてる犬っころを疎ましく思いつつ、彼女の調教師が傍にいるので気にしてない風に振る舞う

動物にもちゃんと気を使う鈴木さんはとても良い人だ。わざわざ困らすつもりはない

俺の周りで喧しくてまくし立てているのがシシドだったなら、迷う隙もないくらい本能的に地面に叩きつけてるところだ。あいつは弱いくせにやかましい

まぁ、俺は女子供(シシドは例外だ)に手を挙げない主義だし………つーか種族柄♀に手を出すなんて恐ろしくてできない…

俺らは♀の女王様を中心に群れを作り、♂は子供より地位が低い…♂より体格もデカいし気性も荒い♀に突っかかって殺されたくない

○玉ついてんだぞ。♀なのに金○ついてんだぞ!

それはさておきだ、なんで犬に芸など習わなければならないのだ

大体、わんちゃんと呼ばれているが俺はハイエナだ

ちなみにネコ目であって犬ではない。

てか、なんで芸しなきゃダメなのよ

前みたいに楽にしてちゃだめなんかよ

俺のタテガミをぐいぐい引っ張り憤慨しているトイトイには悪いが、夜行性であるこちらとしては眠くてたまらん

俺らの種族の性格を知っている華ちゃんが遠くで冷や汗まみれになりながらこちらを見ていたり、鈴木さんが本気で焦っているのが横目に入ってこなければ、もう少し腹が立ったかも知れない

俺は♂だし年上だ、多少くらい堪えてやるさ

だから華ちゃん、前見ないと…ほら、ウンコ踏んだ…

「おい、トイトイ」

「なぁに?」

「俺は芸なんぞする気はねぇ」

お前が語尾に鈴木鈴木つけてる間は特にだ。と付け足すと、彼女は首を傾げていた

少し目を開いた鈴木さんにウインクを一つ。男には男の秘密があんのよ

「わんちゃん、あなたがなにを言っているかよくわからない」

「フヒヒヒヒヒ、それは自分で考えなぁ」

「意地悪!意地悪だよね鈴木!」

必死に同意を求める姿に、フヒヒヒヒと笑い声を漏らす

不満そうに頬を膨らませる彼女には悪いが、懇切丁寧に教えるつもりはない

「俺はハイエナだ。執念深さには注意することだ」

フヒヒッと笑いを残して立ち上がる

必然的に見上げた彼女は、零れそうな目を瞬かせただけだった

鈴木さんには悪いことをしたかな…と少しだけ反省しつつも、笑みが止まらないのは許してほしい

心底解りませんと言いたそうな顔に優越感を覚えながら、彼女の髪を一度だけくしゃりと撫でる

「わっ」

「ちなみに俺は、野生では狙った獲物を狩れなかったことはないぜ?」

何故か、俺の台詞が聞こえたらしい鈴木さんと華ちゃんが顔を真っ赤にしていた

華ちゃん、またウンコ踏んでるよ…



☆☆☆
気付いてないのはトイトイのみ←
この主はたぶんハイバラ的な名前だと思うの鈴木!

♂にしては体が大きく♀に間違われうんざりしていたところ園長と出会ったんじゃないかな
魔力を受けると中性的みためになるとかそんなん←

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