スクラップスプラッタ


せっかくの好意だというのに、目の前の上半身はそれを受け取りたくないらしい

「いい加減静かに出来ませんか、ジェノスさん」

「貴様の指図は受けん。こちらの質問に答えろ」

「あー…」

スクラップになった部分のコードを引きちぎる間も、まだ人の手など借りたくないのか単なるヤケか彼は口を閉ざすことをしなかった

表情筋も失っているのか彼の無表情は変わらないが、どことなく焦りを含む声に優越感を覚える

ポーカーフェスが癖の自分も似たよう無表情だが、彼が少し息詰まったような仕草をしているので何かしらの感情は浮かべたのかもしれない

抵抗出来ない生き物を相手にするのはどうしてこんなにぞくぞくとした興奮を与えるのだろうか…

欲を言うならもっと怯えて泣き叫んで必死になってくれなら面白いのに

残っていた武器も一つ一つバラして身体の無事であったところの中身もパーツとパーツを外していく

文字通り体の中の中まで調べ尽くされ、魚の開きを連想させる状態でも割と元気そうだった

スプラッタ趣味のグシャデレサイボーグの友達がいるため、こーゆーのには慣れている

ちなみに最近そいつは、ゾンビ狩りを生業としてるらしい。意味が分からん

友達のサイボーグと同じ要領で作業して壊れてしまわないか不安だったが、なんだかんだでジェノスさんは頭部のみでも生存出来るらしい

サイボーグとは便利なものだ…彼の何処までが人間で何処で生命維持を行っているのかさっぱりわからないが

とりあえず口はよく動く

「貴様何をするつもりだ」

「修理してあげるつもり」

漸く黙ったので手元から顔を上げると、とても怪訝そうな顔をしていた。なんでだ

女が工具握るのが不満なたちですか?と尋ねると、それ以前だと低い不機嫌な声色で返された

腹立たしくなってドライバーを投げつけたらカツンと固い音がして弾き返され床に落ちる

ふっと鼻で笑われた。髪の毛刈ってやろうか

何故一般人の私がヒーローであるジェノスをバラバラに出来たのかといえば、怪人にボコボコにされ手足が吹き飛んだ彼を拾ったからだ

怪人を手持ちの改造スタンガンで倒せたのも、私が拾ったのも運が良かった。

1からの物作りは苦手だが、修復や改造、改良は得意なんだ

今まで無言で作業していたからか、すっかり信用を無くしているらしく睨まれているが…

ドライバー投げたせい?知らんがな

取りあえず頭は下手にイジりたくないので、武器である火炎放射器らしきものから直すことにする

ぎゃんぎゃん騒がれると面倒くさいので作業が見える位置に頭を移動させてやる

手際をしばらく見てから、ようやく彼は半開きの口を閉ざした

「何故直す」

「んー、壊されたいの?」

「……。」

喋るか喋らないか、やけに極端な男だ

「あー、これ火力二倍に出来るよ。する?」

「……。」

黙りかよ…と呟くと、さっさと直せとだけ返された

これはこれは、偉そうなお願いだこと

しかし、つい口元が緩んでしまうのは、自分が絶対的優位に立っているからか…

1対1でリアルファイトすれば瞬殺されるんだろうが、今は彼を生かすも殺すも私の思うがままだ

「直して欲しけりゃ、」

精一杯媚びて私のやる気を無くさないよう頑張って下さいね

相手が抵抗できないのを良いことに頬を撫でる

ジェノスさんはゆっくりと瞬きを繰り返した

今更だが、イケメンの生首って中々シュールね…



☆☆☆
グロで病みにしようとしてやめた←
と思ったら結構あれだったらしい。
グシャデレサイボーグヒロインは、ゾンビマン夢の主です←

才能ピカイチであたまパーンなドライバー投げヒロインなんていかほど?←

[ 251/554 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -