方舟を見つける時

どうして私はポケモンなんだろう

彼がポケモンだったら…もしくは私が人間だったなら、私はこんなに悩んだり苦しくなったりしなかったんだろう

最近、こんなことばかり考えている

「どうかしたのかい?ルカリオ」

読んでいた本から視線をあげたゲン様に

「いえ…」

とだけ答え視線を逸らす

ゲン様に促されて隣に座りながらちらりと横を伺うと、苦笑していた

私の態度がゲン様を困らせたのだろうか

「最近、ルカリオは悩んでばかりだね」

私では力になれないことかい?と頭を撫でられる

ポケモンにするようにされるその行為に胸が痛む

いいえ、違うんです。と否定すると、さらに苦笑されてしまった

ゲン様のパートナーとして存在しながら、ゲン様を困らせてばかり

情けなくて申し訳なくて、顔を上げることが出来ず足先を睨みつける

「ルカリオ?」

私を呼ぶ声が、震えている気がした

言わなければ、呆れられてしまうのだろうか

「私を、捨てないと誓って下さいますか?」

この私の感情を、私の望みを聞いても、必ず捨てないと

もちろんだよ。と、泣き出しそうな私の耳を撫でながら約束してくれた

「私は、ルカリオと言う種族を恨んでいます」

ゲン様の手が、優しく優しく撫で続けてくれる

「ルカリオは人の体に近い形をし、波導で人と話すことが出来ます」

「そうだね。」

そうでなければ、きっと私は諦められたのです。と思わずこぼれた本音に、ゲン様の手が止まった

「私は、ゲン様が好きです。」

トレーナーとしてじゃなく、人間としてじゃなく、雄としてあなたを見ているのです

「………ルカリオ」

「何度も諦めようとしたのです。しかし、あまりにルカリオという種族は人に近すぎた」

顔を上げる。ゲン様は真剣な表情でこちらを見つめていた

「どうしても諦めが着かないのです」

「……ルカリオ」

「ゲン様、私は、私は、」

「いいんだよ、ルカリオ」

私の言葉を遮り、ゲン様は笑っていた

「そろそろ鋼鉄島での修行も飽きたし、違う場所へ行こうか」

「ゲン様?」

話が見えない。ゲン様の優しい瞳がとても真っ直ぐにこちらを見ている

波導が乱れているためか感情が解らず、不安を煽られる

私を置いてどこかに行ってしまうのだろうか。それとも、私が遠くに捨てられてしまうのだろうか

縋るように伸ばした手を、握り包み込まれる

「2人で暮らせる場所を探そう、ルカリオ」

私と君と、ずっと幸せに過ごそうと笑って耳にキスをされる

「……っ!はい!ゲン様!」

ポロポロと流れてきた涙を指先で拭って、いつものように優しく笑いかけてくれるゲン様に抱きつく

恋い焦がれた人は、幸せそうに目を細めていた



☆☆☆
種族とか性別とか葛藤しつつなんだかんだで幸せになってくれると…
私がキュンキュンする←
両思いのくせに互いに嫌われたくなくて言えないとかモヤモヤキュンキュン

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