秘密にした

モテ期なうです

なんだろね、ぶっちゃけ子供に好かれてもって感じですけど

あ、アーティ君は別ですよ。可愛い天使です

みんな可愛い可愛い言ってくるけど、中身はこんなんなわけでして
…一体私のなにを見て好きと言うのか

もちろん子供の彼らにそんなこと解るはずもないだろうし、解ってたとしても人間所詮見た目第一なんだよね

藤子ちゃんしかりドロンジョ様しかり、美人であれば多少性格があれでも許容されるものだ

つまりなにが言いたいかと言いますと、可愛く生まれ変わった私はだれなんでしょ?

前世を引きずっている私としては、こんな可愛い可愛い私を演技しているような気持ちなわけです

他人はみんなその演技に惚れている

じゃあ、本当の私はどこにいけばいいんでしょ。身体だけ間借りして憑依している霊体の気分だ

どうせ霊体ならお風呂とか色んな撮影場所に行ってみたいんですけど…おっとこれは失言でした

シリアスに戻すと、あんまり考えたくないところだけど私の存在って、本当に在って良いんだろうか

他の生まれるべき命を殺してしまっていないだろうか…と、確かめようのないことを悩むことが有るわけです

窓の外で遊ぶ子供の声を聞きながら、読んでいた絵本を閉じる

今日はお休みの日で、アーティ君はお家の用事で来ない

親とハハコモリは出掛けてしまったから、色違いのフシデと二人きりでお留守番と言うわけだ

秘密事を話しちゃうのには丁度良い

「フシデ」

名前を呼ぶと、窓越しの日光に目を細めていたフシデが体ごと振り向いた

『なぁに?ナガレ』

「君だけに、私の秘密言っちゃおうかと思って」

『秘密?』

そう秘密。と声を小さくすると、小走りにこちらに来てくれた

小さな足がせかせかと動く可愛い様子に笑いながら

「私ね、生まれる前の記憶があるんだ」

と、なんて事の無いように言ってみる

フシデは目をまん丸にしていた

大人になって働いてて、子供を助けるために車に引かれて死んだこと

ポケモンについての知識が他人よりもたくさんあること

色違いの知識はもちろん、能力や性格による育成やバトルのやり方の違いの知識もあること

全部全部、夢みたいな間抜けな話しをフシデは一つ一つ頷いて、否定しないで聞いてくれる

ナガレを信じるよ。と確かに小さなその子は呟いた

『でも、どうして突然?』

不思議そうに首を傾げた彼に答える

「私をね、知っていてくれる存在が欲しかったの」

『君は君じゃ無いの?』

「私にとって、この世界はおままごとなんだよ。」

『ふぅん』

俺にはよくわからないよと言ったフシデの丸い背中を撫でる

良いんだよ自己満足なんだからと呟いた私に、なんでもいいけどとフシデは笑った

「それだけナガレは、俺を信頼してくれてるんでしょ?」

少し悪戯めいて少し誇らしげに言われた言葉に、外からの楽しそうな子供の声が被る

用事が終わり次第来ると言っていたし、そろそろアーティ君が家につくかもしれない

内緒だよと念を押すと、もちろんと頷く

ぴんぽーんと、間抜けにインターホンの音が響いた



☆☆☆
依存度マックスの迷子コンビ

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