ケーキ前線
どこからか流れてくるクリスマスソングを聞きながら、買ったばかりのケーキの箱を抱えながら歩く
「すっかりクリスマスだなー」
『そうだな』
オズの同意の声に重ねるように、メロリスがきゃらきゃらと笑う
『狂助には関係ない行事だよね!』
「今日はケーキ買ったのに残念だなーメロリス」
箱を軽く持ち上げると、あぁんケチーとオズの肩からおりて俺の足にすがりついてくる
「俺1人で食っちゃおっかなー」
『やだぁ狂助いじわるぅぅ』
メロリスと反対の足にふぅすけが纏わりついてきて、若干歩きづらい
通りすがりのヤブクロンを抱えたトレーナーが、クスクス笑いながら写メを撮っていきやがった。どうする気だそれ
ふらつきながら歩いていると、横からケーキの箱を取り上げられた
『持ってあげるから、僕の分は残しておいてよね』
サクマはクスクスと俺の足下を見て笑い、それを見ていたアーリズが俺の肩に乗って
『マスター、俺も食べたい』
と甘えてくる。重いんだが
オズの尻尾に乗っていた兵長もカシャンカシャンとケーキの催促をしていた
お前、この状態の俺に何も求めてくれるな
サクマは炎タイプのくせに寒い寒いと文句を言い、若干不満そうにしている
オズが少しだけ笑って、俺の足に付いていた二人を持ち上げて肩に乗せた
『なんだかんだ言いつつ、きちんと全員分買ったんだろう?』
まぁな。と答えると、お子さま組から狂助大好きーなんて言葉が飛ぶ。現金だな
とゆーか、狂助呼ぶな
『彼女なんか居なくても、僕らが居るんだからいいじゃない』
「サクマ…お前…」
ちょっとうれしくなって抱きつくと、慌ててケーキの箱を持ち上げてた
『ちょっと、抱きついて良いなんて言ってないよ』
あーサクマ暖かい…と柔らかな毛皮を堪能していたら、首根っこを掴まれ引き剥がされる
「お?」
『早く帰るぞ』
寒いのは苦手だ。と呟いたオズに背中に乗せられる
なんだかパートナーは、満足そうだった
「ま、相手が居ようが居まいが、鉄道マンは祝日にやすめねーけどな」
少しかたいオズの背中を軽く叩きながら言うと、違いないと背中が揺れた
夢のないことだねぇとふぅすけがへにゃりと笑う
この寒さだと明日には雪が降るだろうと、吐き出した息は真っ白だった
☆☆☆
彼等は今日も元気です
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