賑やか回避

アーティさんにスケッチブックを片付けるのを促しながら少女が

「なんか、変な集団がポケモンも人も森から追い出してて…」

私達も追い出されちゃったんです。と困ったように笑う

鞄に荷物を片付け背負って立ち上がるアーティさんもそれに続くように

「虫ポケモンを治療して、姉さんにも報告したら、閉鎖された森に入れるところを探すつもりだったんだよね」

道草しちゃったけどとへにゃんと悪意の欠片もなく笑い、それを聞いていた少女が目に見えて落胆した

私がなんか聞き違いをしちゃったからだと肩を落とすのを、君のせいじゃないからと慰める仕草が自然で2人の親密さを思わせる…歳の差カップル流行だよね爆発しろ

「アーティさんとアロエさんが揃えば、あんな変な人たちすぐに追っ払えます」

なんとか元気を取り戻したらしい少女が、まだ若干肩を落としながら言うとジムリーダーは笑顔を引っ込めて頷く

でも、今はまだ行かない方がいいと指された森から、何匹か群になったマメパトがとび立っていくのが見えた

鳥ポケモンが群れになって移動するのは餌を探す場合もあるにはあるが、今の状況からして、何者かが森を荒らしていて移動せざる得ない状況にあると考えた方がいい

そう考えたのは少女やアーティさんも同じらしく、真剣な眼差しで森の方を睨む

「アーティさん、急ぎましょう」

「ぬぅん。わかってるよ。じゃあ、気をつけてね」

小さく手を振ってシッポウシティ方面に消えていく背中を見送る

女の子が一度振り返って綺麗に会釈してくれた

「多分、変な集団は俺の仲間なんですよねぇ」

さすがにピンと来るものがあっても他人に公言はしないが

『ーー。』

行こう行こうと促すマスカットに手を引かれ、森を目指すことにする

「取りあえず行くか…ん?」

後ろから何やら賑やかなものが迫ってきて、確認する間もなく隣を走り抜けていく。ただいまの色はなんだか見覚えがあるなぁ

どうみても今し方噂していた同士達だろうよ

「なんだ?」

「カナタさん!」

また後ろからバタバタと近付いてきたのもどうやら俺の知っているメンツらしい

「ツタージャ少年か…あ、進化したの。おめでとう」

「ありがとうございます…じゃなくて!」

プラズマ団が博物館から骨を盗んで逃げていったんですがどっちに行ったか解りますかっと、肩に乗った緑が一回り大きくなったツタージャ少年は一瞬だけ嬉しそうに笑うがすぐに焦ったようにまくし立てた

「それならあっちに」

と言い終わるか否かで礼を述べてジャノビーを肩に乗せた背中が遠ざかっていく

「なんなんだ。」

たぶん森の閉鎖は、自然の迷路に身を隠して追っ手から確実に逃れるためなんだろう

今から森へ入るのはスピアーの巣をつつくようなものだろう。スピアー見たこと無いけど

わざわざ厄介事に飛び込むことはない

「迂回するぞ、マスカット」

『ーーー?』

こんな時、飛行タイプが恋しくなるのは致し方ないと思うがどうだろう



☆☆☆
「アーティさん、やっぱり聞き違いじゃなかったみたい」

「ぬん、どうして?」

「『一般のトレーナーに聞きたい。ボクが生まれたのはダメなこと?』って、別れ際に…」



☆☆☆
お察しの通り←

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