体温計

ジムの一室で油絵を描いているアーティさんの背中を見つめる

バトルしている時も楽しそうで好きだけど、こうやって伸び伸びと過ごす様子を眺めるのも好きだ

マイペースというか自分のプライベートの時間を大事にしていて、普段と違う子供みたいな顔でキラキラしている

時折眺めていて、ひどくむなしく淋しい気持ちになることもあるけど…

「わかった、頭なでなでしてよ」

気配で気が付いてはいたんだろう、特に驚く様子もなくおもむろに筆を置いて後ろを向いた彼は

「…ぬーん、ナガレは頭おかしいの?」

と爽やかに笑った。憎たらしいほど良い顔してた

「違うよ馬鹿」

「馬鹿はそっちだよナガレ」

よいしょと立ち上がり、背伸びをしながら流し目で見られた

それだけでもくびれとか色気が凄い

少し腰に目を奪われつつ口を開く

「最近ちょっと」

「おかしいの?」

「もういい」

なんかアーティさんにも自分にも腹が立ってきて、部屋の入り口まで踵を返す

「ふーん」

と何かを思案しだしたアーティさんが

「ナガレ、飢えてるの?」

だなんて聞いてきたから、思わず気を取られて足を引っかけ前につんのめったけど

「もういい、違う人に頼む」

「頼むって誰に?」

カミツレちゃん。と親友の名前を言うと、つかつかと歩み寄ってきて手首を掴まれた

「…ダメ」

「なんで」

「なんでも」

「ヤダ。知らない」

大人気なくすっかりへそを曲げた自分の顔を見つめてしばし、緩んでいた頬を引き締めて

「…何で解んないかなナガレは」

と少し苛立ったようにアーティさんは言った

訳が分からなくて首を傾げると、手を離して一歩距離を置き

「ほら、おいでって言ってるの」

の腕を広げてくれる

「!!」

思い切り勢いをつけてから飛び付くと少しだけよろめいたけど受け止めてくれた

痩せてるけどやっぱり男の人なんだなと納得

「かまって欲しいなら最初からそういいなよ」

「だって楽しそうだったから…」

「ナガレがいたからね」

ギュッと抱き込まれて頭を撫でてもらっているから表情が見えないけれど、いつもより優しい声色と高い体温が愛しくて目を閉じる

「一人の時間や絵を描いたりするのも好きだけど…ナガレが傍にいるだけでさらに世界が鮮やかに色付いて見えるんだよ」



☆☆☆
シンプルに
アーティ祭が私の脳内で始まってる
最近寒いし人恋しい
風邪に気をつけてくださいまし

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