千切る。契る。

ブチリと、ギシギシ笑ったそいつのハサミに腕を引きちぎられた

「何すんだよ」

「いいじゃねぇかナガレ、減るもんじゃあねぇ」

「馬鹿、誰がどう見ても減ってんじゃねぇか。腕返せ」

自分はヒトデだ。だからバラバラにされようが再生する

しかし、わざわざバラバラにされたい訳じゃねぇし、痛覚だって多少鈍いがあるんだ

なのにこの蟹野郎、毎日のように腕を千切りやがる

蟹のなかには、イソギンチャクやヒトデを体に貼り付けて身を守るやつもいるが、少なくともこいつは違う

大人しく横に向かって歩いていればいいものを

「ギシギシ」

と、千切った腕を弄びながら笑うドーラクの顔は仮面の下で見えない

「さっさと返せよ。それからもう一人の私が再生したら気持ち悪ぃだろ」

「それもイイカモナ」

「はぁ?」

さっぱり意味がわからん

こちらの表情を見るなり、楽しそうにする意味も

千切った腕を愛しそうに撫でたり、指先を摘んで興味深そうに関節の曲げ伸ばしをするのも、全部全部

意味が、わからない

「こっちはお前がいつも何考えてんのか解んなくて困ってんのに」

全部知った風な顔しやがってと毒づくと、腕を投げて寄越された

「そーでもねぇけどな」

「はぁ?」

またギシギシ笑って、答えを言う気もないらしく遠のく背中をただ眺める

「何なんだよ」

てめぇが何思おうが、(今は互いに人型だが)混じりあえる種族じゃねーんだぞ

千切った腕でも、くれてやればいいのか。


☆☆☆
興味ないキャラを気づけば書いてる病気←
ヒトデが♂♀異体だったのでそれっぽく修正しました


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