婚約された

何やら騒がしいなと思ったら、私の初の誕生日でした

そりゃねぇ、カレンダー見ないし外にも出ないし…日にち感覚も無くなっちゃいました

精神的にあれとはいえ、肉体はちゃんと律儀に赤ちゃんなんだから。仕方ないよね

あ、歩けはしないけど、寝返りとお座りはなんとかできますよ

あと、若干の発声…うん泣けてくるわ

今日も天井を睨み上げるだけの簡単なお仕事をしていたら、私のベッドを覗き込んだ誰かがいた

両親とハハコモリ以外に滅多に会わないから、すごく新鮮な気がする

今の私よりは年上…は当たり前か。精々5〜6歳だろうか

まだ幼いながらに整った顔立ちは、将来有望であることをありありと感じさせる

くりくりにカールしたカフェオレ色の髪に、エメラルドの瞳と、まさに美人要素詰め込んだような子だ

少女か少年か迷う、中性的な顔立ちを見つめる…なんだ。ただの天使か

天使に見下ろされていると、母さんとハハコモリも覗き込ん出来た

「あらナガレ、普段は人見知りするのに珍しいわね」

『あれはみんなが構い過ぎるからで、別に人見知りじゃないのよねーナガレ』

不思議そうに首を傾げるお母さんには悪いが、苦笑いしながら言ったハハコモリの言う通りなんです

可愛い可愛いと撫で回されたり突かれたりつねったりと欝陶しかったので、泣いたんですよ母様

こっちだって、何もされないのに泣きやしないさ

精神年齢は大人だしね

天使は優しい目をして、柔らかい手つきで髪を撫でてくれる

内面も私とは比べものにならないくらい綺麗でいい子なんだろう

「アーティ君、この子と仲良くして上げてね」

ちょっと待てなんつった

自慢じゃないが私は、ポケモンシリーズをすべて制覇してきた

今だから言おう。危ない社会人だったな…

ジムリーダーの名前はほぼ記憶していたし、まだ覚えている

茶髪緑目虫ジムジムリーダーの記憶はわりと新しい

いや待て、同じ名前なだけかもしれない

「ぬぅ、ナガレって言うんだね。キミすっごく可愛い。結婚したいな」

ダメだ、ぬぅって鳴いてる。本人だ

そして、にっこり笑いながら告白された

前世の私なら気が早いよと笑っただろうか…

待て前世の私、今思えば子供からしか告白されたことない。

流れで死にたいって言おうとしたら死んでた。笑えない

「じゃあ、この子が大きくなったらよろしくね」

とおかしそうに笑いながら言う母に、

「うん」

と、とろけるように、大好きなケーキを頬張る時のようにうっとりと笑ったアーティ君に、思わず見とれちゃいましたとも

『あら、お互い一目惚れかしら』

と笑ったハハコモリに手を伸ばし抱き抱えてもらう

フラグの気配がしたが、きっと残像だろう



☆☆☆
ぬぅ。ぬぅん。と鳴く不思議系男子と出会った

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