くされえん

応接室のソファーで横になりながら、窓際の席で何やら作業する恭弥を眺める

はぁ。とほぼ無意識に漏れたため息に

「10回目」

と彼がすぐに呟いた

「まだまだ出るよ…」

「ナガレ、何かあったの?」

「心配してくれるの?」

「これ見よがしにナガレがため息吐くからでしょ」

資料をさらさらなぞる鉛筆を止めて、顔を上げた恭弥は呆れた表情でこちらを見る

怒るかなと思ったら、それで何があったの。と促してくれた

何だかんだで相手してくれるから好き

「君の気にしてる綱吉君」

「あぁ、あの強さの変わる草食動物」

何故か綱吉君は、衣類がパンツのみになると荒々しい性格になり、パワーも上がるご様子

普段はびくびくおどおどしている癖に、風紀委員長の恭弥とやり合えたって言うんだからすごい

露出する解放感でなんか神経が高ぶっちゃうのだろうか

恭弥曰く、赤ん坊に銃弾で撃たれたら草食動物が強くなった。らしい。意味がわからん

それは今はどうでもいいんだ。問題は…

「彼の連れてる赤ん坊に、マフィア勧誘されてるんだ」

ため息の原因を言うと、恭弥の機嫌が急降下しだした

ゆらりと立ち上がり、発せられたのは

「僕以外と群れないでよ」

の一言で、それは彼にとっては重大な問題で咬み殺す要因で、こちらにとってはそれはわりと理不尽と呼べるものだ

「断ったさ。だからトンファーしまって下さい…」

いつの間にか彼の手にある鈍器に、思わず姿勢を正す

気に入らないとあらば、なんでも地にひれ伏さす恭弥様の一撃を食らえば、冗談ではすまない

骨は折れるし、記憶は飛ぶ

幸い自分に向けられたことは数えるほどだが、避けれるなら避けたい

両手を上げて降参ポーズを取ると、椅子に戻ってくれた。ふぅ。

しかし、じと目でこちらを睨みながら

「マフィアも何も、」

ナガレは並盛を取り仕切るヤクザの若頭じゃない。と続けられた言葉に、肩を落とす

「それは言わないで…」

皆まで言うな、なんだから

「恭弥が入ったら入るって言っちゃったから、勧誘にくるかもよ。チャオッスとか言いながらさ」

チャオッス、俺はリボーンだと、赤ん坊の真似をして言うと、鉛筆が飛んできた

額に当たり、空中を泳いだ鉛筆をキャッチする。おでこ痛い

「ちょっとナガレ、巻き込まないでよ」

「だからナミモリーヌのケーキを献上したじゃないか。トンファーしまって。」

いま応接室の冷蔵庫に、今日買ってきて彼に差し上げたケーキが冷えている

まぁ、そんなもんでご機嫌が取れるとは思っていませんが。

「咬み殺す」

「ひぎゃぁぁぁぁ!」

勢い良く投げ付けられたトンファーを、間抜けに叫びながら避けると、恭弥の唇が弛んだ

ソファーに穴が開いている。こりゃまずい

「相変わらずナガレは良い声で鳴くよね」

「語弊がありますからお止めになって」

「やだ」

「ちくしょう可愛い。」

ついっと顔を逸らす仕草が可愛くて、ちょっとだけ見惚れていたら

「僕に苛められたいんでしょ?」

と抜かして、にっこり笑いやがった

しっかりとトンファーを構えながら。

「構ってちゃんではあるけどね!」

「ナガレ、キスさせてあげようか」

床に。と付け足された言葉を聞き、反射的に、バネ仕掛けの人形のごとく飛び起きる

走りだした後ろで、物凄い音を立てながら飛び散るソファー

あぁ、厄日だ



☆☆☆
あわよくばアサリに取り込まれる若頭
恐らく10年後は恭弥と財閥にいながら、リボーンに時折パシられるんだろう←

ちなみにこの後、ナガレは逃げ切った←

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