会いたい (基緑/緑川視点)




*この話を基山視点で読む



ヒロト。君は今、そこで何を考えてるの? ねえ、ヒロト。寂しいよ。でも、すぐ追いつくから。頑張るから、待っててね。約束だから。

ヒロトを探して空を見上げると、綺麗な、雲一つない空があった。空は世界と繋がっているなんて言うけれど。だったら、今、俺がここで叫べば声が届くんじゃないか。なんて考える。

FFIアジア予選で、特訓のツケがきたのか、怪我をした俺は、あの日この木の下でヒロトと約束した、世界大会優勝の約束に乗り遅れてしまった。

ヒロトと離れる前日。どれだけ泣いたのだろう。寂しくて、悲しくて、悔しくて。もっとヒロトと一緒にいたくて。でも、ヒロトには安心して旅立ってほしかったから、隠れて泣いた。だって君は、とても優しい人だから。心配して大会に集中できなくさせてしまうことはわかっていた。
だから、君が旅立つときも、込み上げてくる涙を必死に堪えて、笑顔で「またね」って言ったんだ。「俺なら大丈夫。約束の為に頑張るから!」それだけ言って、笑顔で別れた。


覚悟は出来ていたはずなのに。わかっていたはずなのに。いざ、隣にヒロトがいなくなると、心にぽっかり穴が空いたみたいだ。

でも、いつまでも落ち込んでなんかいられない。君が世界で必死に戦ってるんだから、俺だって。 俺だって世界に行くんだ。


そしてもう一度。



大好きな君に会う為に。



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