掃除も終わり、家に帰ろうとした俺に、俺から見て左側の目に眼帯をしているクラスメイト、佐久間次郎が話し掛けてきた。
「なあ不動ー。今日お前ん家行っていい?」
「なんでだよ。」
「こないだ発売したゲームやりたい。」
「………は?」
「だから、ゲームやりに遊びに行きたいの。」
「ったく…ゲームくらい自分で買えよ…」
まだ許可も出していないのに、佐久間は子供みたいな笑顔をして喜びはじめる。 俺はそんな佐久間がいつからか好きになってた。
俺の家に着いて、やはり佐久間は許可もなしにゲームに飛びつく。
……どんだけゲームやりたかったんだよ。
目はキラキラ輝いて、まるでサンタにプレゼントを貰った小学生のようだ。
俺はそんな佐久間を、ソファに座って眺める。
「なあなあ、鬼道も誘っていいか?」
「なんで鬼道クンが出てくるわけ?」
「だって、鬼道もいたら楽しいと思うし。」
「あいつ、ゲームとかやんねぇだろ。」
「そっか…残念。」
何が残念、だよ。と思いながら佐久間を眺める。
俺が佐久間に好意を寄せたのはいつからだろう。なんて考えていると、あっという間に時間は過ぎていた。
「んー!つっかれた〜。休憩するわー。」
「おい、いい加減帰れよ。」
「いいじゃんー。今日、俺ん家親帰り遅いんだよ。」
「知るか。」
「それに、不動の部屋ってなんか落ち着くし。」
こいつ、俺がお前に好意があることを知っててそんなこと言ってやがるのか?
「おい、いいから早く帰れって…!」
ふと佐久間を見ると、いつのまにか人の部屋のソファで寝てしまっていた。
まあ、それはそれで、佐久間の寝顔が今だけは俺の物だから得した気分になる。
だけど、眼帯が気になった。そんなこと気にしなければ俺は傷つかなくてすんだのかもしれない。
俺は…馬鹿だな。
「ん……鬼道…好き………。」
-end-