気に食わない。
「霧野センパイ!」
「ああ、松風か。どうしたんだ?」
「少し相談が…」
「相談?」
「はい!実は…」
気に食わない。
話しはだいたい検討はついている。
「俺…キャプテンのことが好きなんです。」
やっぱり…な。
あいつの口から出た"キャプテン"と言う言葉。
俺はこいつが気に食わない。
「それで、キャプテンと仲の良い霧野センパイならって思って…」
少し照れながらそういう松風が気に食わない。
こいつの部活での日頃の行いや言動からイラついてるわけじゃない。
寧ろそんなことはどうでもいい。
そんなことを考えていたら、松風は俺に手紙を出してきた。
「あの、これ…キャプテンに渡してもらってもいいですか?」
「……ああ。わかった。」
「ありがとうございます!それじゃあ、オレ戻ります!」
………。何やってんだよ、俺。
教室に戻ると、神童が待っていた。
もう他のクラスメイトは帰っているっていうのに。
「どこ行ってたんだ?探したぞ。」
「ああ…ちょっと、な。」
神童の顔を見た途端、あいつから渡された手紙なんかどうでもよくなってしまった。
「ホラ、帰るぞ。」
「神童!」
「?」
「俺、好きなんだ。お前のことが。」
-end-