「佐助!!」 彼女は短い手足で小さい手の平。体の重心がまだ頭で、大きな目をしている。その彼女とは先日、任務帰りの道すがらに出会った。 「今日はー?」 そう言って両方の腕を目一杯にまっすぐと伸ばされた。彼女の言葉はいつも足りない。主語がなくて用件もまともに聞けていない。でも、そこも可愛いと思う。 「今日はおはぎ。」 「おはぎー!」 「これで、手拭いてからね。」 俺から湿った布を受けとって、手を丁寧に拭く夕陽に目を細めた。手を拭き終わったのか、布を返すとでも言わんばかりにぐいぐいと腰に押し当ててきた。 「はいはい。じゃあ手出して。」 「あー!」 「…あーじゃなくて、手。」 「あー!!」 このこってば、 「手を拭いた意味は何処よ…。」 そう言いつつも俺の手の中のおはぎは小さな顔の大きく主張する口に運ばれるのだ。 俺の手は、 「ほら、口のまわり凄いことになってる。ちゃんと拭いて。」 「んー!」 「…んーじゃなくて……」 「んー!!」 「あー…もう」 今日も俺の手は君に使う。 >>>100315 |
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