今日も私は恋をしている。

「ついてる。」

ん、
そういって幸村は手で口の回りを拭う。
あまり取れていなくて私の右手が幸村の口端に伸びる。

「すまない」

情けなく笑う幸村に微笑みを返して、その手を手ぬぐいで拭いた。

今日も私は恋をしている。

「どうしてそんなに食べて太らないんだろうね。」

少し厭味に言ったつもりだったけど大真面目に返される。

「鍛練を欠かさないからでござる!夕陽もやってみては、」

「あー、良いから。良いから。これからも頑張ってね。」

私の言葉に力んで答えた。

「無論!お館様の為にも、某は強くなりたい。」

そう、と静かに返すと確かに頷いてまた団子を頬張り始める。

今日も私は恋をしている。

私はまだ一本目も食べ終わってないのに幸村の方の皿にはもう数え切れない程の綺麗な串が積み重っていた。


「兄上、食べ過ぎ。」


今日も私は叶わない恋をしている。


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100207


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