『善吉ちゃん』


あぁ、忌ま忌ましい声がする。

『善吉ちゃん、善吉ちゃん善吉ちゃん善吉ちゃん善吉ちゃん』

呼ばれても返事なんてしてやらない。

だって俺はこいつが嫌いなのだから

こいつはいつも嘘ばかり
嘘ばかりだから、こんな縋る様に俺の名前を呼ぶのもきっと、嘘なんだ。

『ねぇ、善吉、ちゃん……』

なんで、そんなに悲しそうに俺を呼ぶんだよ。


あんたはうそつきなんだろ

なのに、なんで


「ぜんきちちゃん」

「あんたはうそつきなんだろう?」

『確かに僕は嘘つきだけど』

『善吉ちゃんには、嘘をつきたくないんだ』


あぁ、どうすれば良いのだろうか




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