元気な子、それが最初の印象やった。
綺麗に笑う子やと、思っていたんや


せやけど、たまに見せる困ったような笑顔に違和感を覚えたんや。






サタンの息子、それが奥村君の隠し事やった。
そう考えれば今までの違和感に説明がつくんや。
だからこそ、それが分かったときに何も出来かった。
それが悔しくて悔しくてたまらなくなる。
それまでは散々奥村君に可愛いとか言っていたのにもかかわらず、手のひらを返したように避けてしまってる。

俺は卑怯や

せやかて、俺だって奥村君がサタンの息子って事には驚いたけど、避けようとは思えない。
今も奥村君を想うだけで幸せになれる・・・・・
それでも、いざ奥村君を前にすると口が石化してしまい何を言っていいのか分からなくなる。

これでも奥村君を愛しているという感情だけは増えていく一方なのだから嘲笑がこみ上げて来る。


いい加減、俺も覚悟を決めなアカンのやろな





そう思って奥村君を人気の無いところに呼び出した。
今まで散々避けていた俺のいきなりの呼び出しに驚いているようやけど、ちゃんと来てくれて安心した。
・・・・・まだ俺は嫌われて無いんやろかと希望を持ってしまう



「あのな、奥村君・・・・俺が呼び出した訳なんやけど・・」

思っていた通りに言葉が出ないことを歯がゆく思いながら、俺は奥村君に伝えようとする。

「俺は、奥村君が・・・・・好きなんよ。」

伝えた瞬間に戸惑ってる奥村君を抱きしめた。
言葉で上手く伝えられないなら、行動しかない そう思って


志摩・・・・なぁ・・・・

奥村君が抵抗しはる。
ここで離してしまったらもうこの存在に触れられない気がしてならない。
そう思って俺も離さないようにに力強く抱きしめる。

「志摩、離せよ!」

暴れた奥村君の力に俺が叶う訳も無く、奥村君は俺の腕の中から出た。

奥村君は見てるこっちが辛くなるような顔で
それでも笑っておって

「志摩は、俺を前と同じように接してくれるってことなんだろ?でも、俺は大丈夫なんだ・・・・俺は嫌われるのになれてるし・・・・・」


違うんや、奥村君っ


言葉に出来ても君に届いていないようで歯がゆくなる



「なんだよ、志摩。なんで泣いてるんだよ。」


辛そうな笑顔を俺に泣いてることを示唆する君
本当に泣きたいのは君の筈なんに



ごめんな ごめんなぁ


奥村君には俺の声は届かなくなってしまった
それは俺があのときに手を差し伸べてあげなかったことが原因やろうに



謝罪の言葉以外は何もなくのうて

背を向けて歩きだす奥村君に手を伸ばしても




虚空を掴むだけやった





それでも俺は、何度でも差し伸べようたいんや




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