――私が善吉を守るからな
まだ出逢ったばかり彼女から告げられた言葉。
その時から俺は
目の前にいる眩しい程輝いている彼女を守りたいと
思ったのだ。


infancy



事の始まりは俺が4歳の時。
親を振り切って一人で公園に出掛けたは良いが
俺が何かムカつくという理不尽な内容で
図体が一回り大きい餓鬼大将に突っ掛かってきた時だ。
仮面のおかげで表面は怯えているが、
心情は冷え切っている。

勿論、理不尽に殴られるのは御免だし、
どうやって、被害無く且つ楽にあしらえるか考えていたときにその声は公園に響いた。

「そこのきさまら!
いじめはいけないぞ。」

不本意だが俺よりは大きいが小さなおかっぱ頭の女の子が、餓鬼大将に突っ掛かる。

「な、おまえは!?」

ほう、この女の子は有名なのか
彼女を見ていると、彼女も異常なのだと感じた。
俺と、同じか

この子が来た途端に餓鬼大将が威勢を無くした。

「きさま、こうえんはこうきょうのば、きょうどうして使えばよかろう。」

「うるせえ、おぼえておけよ、くろかみ!」

彼女が言葉を発し、
行動する前に餓鬼大将は
一目散に逃げていく。
情けない奴だな、と心の中で笑う。

「だいじょうぶか」

「ありがとう・・・・・・きみは?」
「わたしは黒神めだかだ」

差し出された手を借り立ち上がり
先程から気になっていた彼女に質問した。

「めだかちゃんっていうんだ。
おれは、ひとよしぜんきち」

「ぜんきちというのか、よい名だな。」

「ありがとう」

名前を褒められたのは初めてで、
仮面が無かったら完璧に赤面していただろう。

「ぜんきち、だいじょうぶか?」

「え、なにが?」

「ひざをすりむいているぞ。」

全く気付かなかった。
だけど、このくらいなら直ぐに治る。
だから放って置こうとする。
めだかちゃんはその傷をじっと見つめている。

「すまないな、ぜんきち。
わたしとしたことが、かわいらしいぜんきちのはだにきずを付けてしまって。」
かわいらしい?

「え、めだかちゃん?」

「そうだ、ぜんきち!
これからはわたしがぜんきちを守ろう!」

俺に話す隙などなく、
めだかちゃんは話を進めていく。
俺は守られる程弱くも
普通ですらもないのに
俺の仮面を知らなくて、
まだ出逢ったばかりの俺に守ると発言した彼女。
純粋に嬉しくて、
純粋に彼女が眩しく見える。
彼女はきっとこれからも
輝いて生きるのだろう。

なら俺は、
彼女の輝きが悲しみで
霞まないように
陰から守りたい。

「めだかちゃん」

「どうした、ぜんきち」

「俺もめだかちゃんを守るよ」

笑顔で告げる。
その言葉は誓いなのだと。


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