「善吉!」

全てはめだかちゃんの一言から始まった



bygone


「何だよ、めだかちゃん
今日の投書はさっきので終わりだぞ。」


めだかちゃんがいつもの様に扇を持って
俺に話し掛ける。

「いや、そうではない。
今日は久しく生徒会室に二人きりなのでな、
つい嬉しくなったのだよ。」

あぁ、そういえば

「阿久根先輩は別の案件、喜界島は競泳部
確かにいつもは皆居るしな。」


「そうなのだ。
確かに彼らがいてくれて
助かる面もある。
だが、私はこうして善吉と共に居る時間も大好きだ。」

語るめだかちゃんの目は
優しくて愛おしい様子だ。

「しかし、善吉。」

めだかちゃんに見惚れていると
名前を呼ばれる。

返事を返す変わりに
視線を合わせる。

「善吉は仮面を被ったのは最初からと言っていたな。
つまり、幼少期に私達が出逢った頃にはもう・・・・・・」
彼女にしては珍しく端切れの悪い質問

「そうだよ、めだかちゃん。
俺は出逢った時に俺達が異常だって気付いていた。
でも、めだかちゃんを
心配して、守ってあげたいと思っていたのは、
偽りない今の俺だよ。」

めだかちゃんが俺を受け入れてくれたからこそ
はっきり自信を持って言える。

「っ、馬鹿者!善吉は馬鹿だ。
私は善吉が普通でも異常でも善吉が良いと言ったであろう。
だから、偽りとか言うな!
私は善吉が好きだ。
善吉は私が守りたい。
だが、善吉が私より強い。
そして今私を守りたいと言ってくれた。
なら、善吉の背中は私が守るから
私の背中は善吉が守ってくれ。」

焦るように一気にまくし立てられた言葉を少しずつ理解する。

俺は人を思うのが怖かった。
だけどめだかちゃんは
全身で人を愛す。
俺は昔、そんなめだかちゃんだからこそ
眩しいけれど、羨ましくて
傍にいたいって思ったんだ。

あぁ、やっぱりめだかちゃんは俺にとって・・・・・・

そう認めると
何処かすっきりとした気分になり、
自然と頬が上がる。

「俺もめだかちゃんが大好きだ。」

――彼女は俺にとっての光です―――



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