救いのない話。
阿久根好き注意
殴る蹴るの表現あり
それでも良いのならどうぞ








初めから俺に信じて良いものなど無かったんだ。


impassive


フラスコ計画の視察を初めてもう随分と地下に来た。
勿論全ての階に十三組の奴がいて
あるときはめだかちゃん
あるときは俺、
阿久根先輩や喜界島が
闘った時もあった。

そろそろ、か
次の階に行くのが少し憂鬱になってきた。
だけど、俺は地下に来た時に、もう戻れない事は悟っていたんだ。
あの暖かい場所に


「次の階到達したぞ。」

「・・・・これは!?」

俺達の目の前にある景色。
それは一部であるが箱庭学園の校舎である。

「僕もこの設備は見たことないから、後輩なんだろうね」

「ここ、地下だよね。」

皆がそれぞれに見たままの感想を呟く。


「さて、此処にも十三組の者は居るだろう。
出てこんか!」

めだかちゃんはこの階全体に届く様な大声を出す。
でも残念。
この階の十三組は

「俺だよ」

皆が一斉に振り返る。
その顔は驚愕って言葉以外無いぐらい、
皆、目を見開いている。


「俺がこの階の十三組だ。」
「嘘だろう!君は僕が見る限り至って普通の筈」

「その普通自体が嘘なんですよ、真黒さん」

「善吉、貴様は・・・・・・」

「そうだ、嘘だ。
昔虐められていた時も
虐めた奴を嘲笑っていた。
俺はこんな奴なんだよ、
めだかちゃん」

「ぜ、ぜんきち・・」

あのめだかちゃんが
見せる涙。
本当は嘘だよ、と嘘で嘘を固める行為をしたくなる。
でも、
今のは離別の言葉。
もう、十三組として
フラスコ計画に関与しようとする生徒会執行部と闘うしか無い。

「さぁ、誰が俺とやるんですか。」

「俺がいくよ」

めだかちゃんが泣いている今、闘える人間は限られる。
やはり、阿久根先輩とですね。

「めだかさんと長年居た益虫の君を少なからず認めて居たが、
先程めだかさんを泣かせた時点で俺は君を敵を認識した。
君は俺が壊すぜ」

「口調が戻っていますよ、阿久根先輩」

勿論、目も昔の破壊臣の目だ。
は、上等じゃねぇか。

「構わない。
これでまた壊すだけだ。」
「昔の獲物も相変わらず
持って居たんですか、
用意が良いですね。
でも、俺に当たるとは到底思えない。」

「黙れよ、虫」

言葉と同時に頭部の急所を確実に狙ってくる。
当たらない程度に体を少しずらし足で蹴り上げ
こちらも急所を狙う。

「くっ、」
クリーンヒット
見切れる程度の速さに嘲笑する。

「阿久根先輩、今ならまだ引き返せば怪我は少ないですよ。」

「うるせえ、
お前は俺が壊すって決めたんだ。
逃げる事も許さねぇよ。」
そう告げられてまた攻防は続く。
いや、攻防ですらない。
俺が一方的に殴ったり蹴ったりしてるだけ。

「ほら、段々と目が霞んでいるんじゃ無いんですか?
阿久根先輩
息も上がってますよ。」

笑いながら阿久根先輩を蹴り、喋る俺に
外野はもう言葉も無い。
当たり前だな、俺は所詮異常だったんだ。
異常が普通になりたい、
なんて無理だっただけ。

良く見れば阿久根先輩はもう気絶している。
所詮特例。
此処までか

「めだかちゃん、もう引き返しな。
阿久根先輩は気絶。
だから俺の勝ち。
もう、地下に来るな。」

傷だらけの阿久根先輩をめだかちゃん達の近くに投げ言う。

「善吉は、どうするのだ。」
今だ涙が止まらないめだかちゃんが俺の事を聞く。
彼女はいつまでも優しい。

けれど、俺は決別した。
「俺は十三組の十三人として雲仙先輩の代役になり、フラスコ計画を完成させる
生徒会は負けたんだから
関与しないでくれよ。」

「人吉、私達は生徒会として此処にまた来るよ。」

「喜界島会計の言う通りだ。
いずれ、貴様に勝ちフラスコ計画を阻止する。」

喜界島の一言でめだかちゃんの涙が止まる。
そして、今まで何を考えていたのかはわからないが静かだった真黒さんが出て行くと皆が出ていく。





一人になり、静かになった。
周りの音は何もしない。
その中で俺は先程の事を思い返す。

喜界島の一言でめだかちゃんの涙は止まった。
めだかちゃんはもう一人にならないんだ。

前が霞み、地面に雫が落ちる。
此処は地下なのだから雨が降る筈ない。
だけど、俺は何故今この雫が零れているのか
分からなかった。


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