俺の異常は異常の人間から見ても異常であった。

odd 後

彼が引き金を弾いた。
弾丸は直線上に飛び、
俺に当たる、筈だった。


弾丸は直線に飛ぶのだが、
俺に当たる前に曲がるのか、その前に曲がるのか
分からない程自然に
俺の体を掠りもせずに飛んでいく。

皆が息を呑む音が聞こえる。
それ程まで俺が集中しているのか、
それ程、空気ですらも静寂なのか、
・・・・・・後者か、
俺は今集中をした覚えがない故に決断つける。

「・・・・・・君は」

彼が口を開く。

「君は何者だい」

何者?

「何言っているんですか、宗像先輩。
俺は普通ですよ。」

「嘘だろう。君の様な弾丸が当たらない人間が普通なわけないだろう」

「弾丸だけではないですよ。
全ての飛び道具は俺に掠らない。
それが例え不意に飛んできた小さな小石ですらも」

「そんなことを聞いてはいないよ」

俺の言葉に驚きながらも
怒りを表す彼の目。

俺は今、
「仮面を被っているんですよ、普通という名の、ね。
それを人前で外すのは多少抵抗あるんで、あまり見つめないでくださいよ。」

戯ける様に言う俺に彼は、
言葉も出ない様だ。

まぁ、あっちの皆も俺の様子には驚きを隠せない様で、
あの、真黒さんでさえも
目を見開いてこっちを見ている。
・・・・・・そんなに見るなよ、体に穴が空きそうだ。

「善吉、何時からお前は・・・・・・」
やっぱり彼女が言葉を発したか。
何時もの彼女とは思えない程の弱気な声だけどな


「最初からだよ、めだかちゃん」
俺は彼女に優しくあやすように笑いかける。
仮面を外している状態で
笑っているのかは分からないけど

「まぁ、バレたから
仕方ない、か
・・・・・・めだかちゃん、俺は庶務を辞めるよ」

えっ、

皆がそれぞれに反応を返す。

でも、それももう関係のないこと

「じゃあな」

後ろを向いて歩き出そうとしたその時、
「待て!」

何時ものめだかちゃんの声がした。
普通の時の癖でつい振り向いてしまう。

「私は善吉が普通であろうが異常であろうが関係ない!
私はこんな異常な私を心配して、守ってくれた善吉だから傍にいて欲しいのだ!
私がやっと善吉の事を知り、私も善吉を護れると思った瞬間に
さよならとはつれないではないか!
私は善吉が良い!」

言い切っためだかちゃんの頬を綺麗な雫が伝う。
・・・・・・彼女の涙―

何時もの口調や気迫だけど
そこだけ何時もとは違った。


俺がめだかちゃんを守りたかった気持ちは
偽りではなかった。
そして出来れば、
ずっと傍に居たかった―
という気持ちも

「俺は、一緒に居ても良いのか?」

小さく本当の気持ちが出る。
その言葉は当然皆に聞こえたらしく、
めだかちゃんは俺に駆け寄り抱き着き笑いながら

「勿論だ!」
と俺に救いの言葉をくれた。






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