繋いだ手
「静雄さ〜ん」
そう呼び掛けた俺の声に振り返って恥ずかしそうに軽く微笑んでくれる愛しい愛しい恋人。
え、女の子じゃないって?
それはそうだろう。
静雄さんはれっきとした成人男性だ。
男が彼女はおかしい?
いやいや、愛に性別は関係ないのさー
それに、静雄さんはそこら辺にいる女子よりずっと綺麗で可愛い。
外見とかも勿論可愛いんだけど、ちょっとした動作が可愛いんだなーこれが。
普段の静雄さんを見ていると池袋最強の喧嘩人形と噂され、自販機を投げる姿は想像出来ないだろう……静雄さん細いし
「待たせてしまいましたか、静雄さん」
「いや、俺も今来たところだ。」
ふわりと綺麗に笑って頭を撫でられる。
静雄さんの手は心地良いんだけど、俺だって恥ずかしく感じてしまう
俺の考えが伝わったのか静雄さんは
「っ!すまん、つい……」
と慌てて手を離そうとする。
心地良い手の温度が離れていくのが惜しくなって俺は静雄さんの手を握る。
ついやっちゃったかな……
と思い少し後悔しながら謝ろうかと静雄さんを見ると
静雄さんの顔は耳まで赤く染まっている。
……かわいい
そう思うと俺は静雄さんの手に軽く唇で触れる。
「――っ!?」
更に染まる顔。
これ以上は流石に危険かな〜と思い手を握ったまま
彼が喋る前に口を開く。
「さ、静雄さん。今日はせっかくのデートですから楽しみましょう!
勿論、俺が貴方をエスコートしますので」
ウインクと笑顔も付ける。
顔を真っ赤にしながらも
軽く頷いて「しょうがないからエスコートされてやるよ」という貴方に頬を緩ませて俺は静雄さんを連れていく。
―勿論、手は繋いだままで
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