変わる。その瞬間に昂揚する。池袋の人間に俺は畏怖の象徴として知られている。だけど、こうして変わって街を歩くが誰も俺と気付かない。それが俺の感情を満たしていく。
変わる。とはそう、女装のことなのだから。
今日もまた目印となっているバーテン服を脱ぎ、流行に沿った女物を身に纏い、池袋の街で買い物をする。女になる気は毛頭無いが、俺は充実している。しかし、何故今目の前にこいつがいるのだろうか。
「へぇ〜可愛いね。」 じっと見られて羞恥に顔が染まる。ばれているのかと、思い苦笑すると「ねぇ、お姉さん。俺とデートしない?」予想の斜め下をいく言葉を聞いた。
「え?」
思わず口から零れた言葉。気付いて無いのかな、と疑問になる。しかし、
「シズちゃんにそんな趣味があったんだ。以外に似合ってるね。」
爽やかに笑いながら言うこいつ。
目の前が暗くなる気がした。
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