ある日ある時、 レッドの涙腺は突然壊れた。 ぼろぼろぼろぼろ溢れる大粒の涙は留まる所を知らない。手で覆っても溢れて目を開けても閉じても関係なくて透明なそれは流れる。口に入ると少ししょっぱいそれはそれこそ容赦なく口なり鼻なり喉など器官ひとつひとつを攻めていく。 困ったのはレッドに対峙するグリーンだ。 グリーンがレッドの泣く姿を見るなんて数年前かはたまた数十年前か、とんと記憶にないのである。幼なじみの弱々しい姿にこんなに閉口するとは思わなかった。グリーンは困っていると同時に術がわからなかった。 術がわからないのは仕様の無いことで、なんせ当人のレッドも理由を知らなかった。無機質に流れる涙を無感情にレッド自身が傍観しているのだから他人にはどうしようもない。センチメンタルとかアンニュイとかナーバスとか?そんな言葉で片付ければ簡単なのかもしれないしそうかもしれない、けれど思い当たる理由もない、自分だってわからないのだ。 そうして良いことを思い付いたグリーンがレッドの片手を掴んだ。 「お前が何で泣いてんのかわかんねーし知らねーし言いたくないなら聞かねえ。お前はアウトドア引きこもりだし消失魔だし言葉足りねぇし半袖だし無表情だしどうしようもない奴だけどな一個良いこと教えてやるよ。俺はそんなお前が好きだ馬鹿」 顔を赤くして一気に述べたグリーンを見てレッドは思わず吹き出した。思わずげらげらと笑った。 |