太股に白を乗せて身体中に赤を散りばめていつもは緑が輝くはずの閉じられたそこからは透明の液体を伝わせて皺になった亜麻色のシーツから動かない肌色が見え隠れして、失神したんだなと僕はため息をつく。
本日彼と始めた情事は早々数時間を越え、僕と彼がイッた回数を数えると両手に両足まで貸してやった方が良いんじゃないかと悩んでしまう程である。補足すると僕より彼の方が格段に多い気がするけど。
ふと見ると赤い赤いと思っていたそこは膿んでしまったのか紫色を帯びていた。動かない彼の動かない瞼から流れる液体だけがやけにリアルな動きに感じて僕の良心をちくりと刺す。思わず彼の頬に触れると思いがけない彼の体温に僕は出逢った。端から見れば死んでいるかのような今の彼だが体温が全てを物語っていた。熱いじゃないか。冷えきっちゃいない。彼の身体も僕の手もこんなに温かい。

ああ、よかった。

とばかりに僕は寝たふりを続ける彼の頬を平手でぶった。
彼が緩慢な動きで揺れると虚ろな瞳で悔しげに舌をうつ。僕は彼の髪を掴んで無理矢理起こしてその口を塞ぐ。その瞬間に舌を噛むもんだから鉄の味が僅かに互いの口内に広がった。僕は彼の顎と頭を掴んで動けなくしてやった。右腕と左肩に彼の爪が食い込んだ。赤と緑の瞳が貫くようにかち合った。

「なまいき」

そうどちらかが溢して、夢のような非生産的行為は続いた。




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