達海が連れてこられたのはシティホテルやラブホテルなんかじゃなく、高層ビルだった。否、ルイジ吉田の家だった。都内のマンションなんてお高いのにましてその上層階ときた。頭が痛くなる。



「………ン…っ……じ、の、」


眺め抜群の窓の外を楽しんでいた達海の背後から抱き締め、ジーノはベッドへと誘った。ベッドに倒した達海へ執拗に口付けを交わす。時折零れ落ちる達海の声にジーノは堪らなくなった。やはり、自分は間違っていなかった。高揚した気持ちと裏腹に冷静に頭の中で、自問自答を繰り返す。愛するのは女性で、男なんて興味なかった自分を惹き付けた達海。人々を魅了する彼に自分もまんまと嵌まってしまったのだ。達海猛という男を自分がETUに入団する前より噂では聞いていた。素晴らしい選手。ただそれだけの存在だったのに。サテライト上がりですぐの自分に声をかけてきた。吉田くん、なんて普段聞きたくない名前を気安く呼んだタッツミー。それから面白いフットボールするね、なんて笑って。その表情に胸の奥がトクンと響いた。たぶん一目惚れ。今まで何人の女性と付き合ってきても感じたことのない感覚に戸惑った。男に恋をする、なんて。


「…、ジーノ?お前、男とヤったこと、ある?」
「まさか」
「だよね。やっぱり、やめ…」
「ここまで来て止められないよ?大丈夫、任せて」
「任せて、って……ッ…」


達海の衣類を脱がせる。羞恥に達海は目を逸らし、そして俯いた。アスリートとして引き締まった体のラインをなぞるとビクリと身体が震える。男の体を目の前にして萎えることはなく、ジーノは目を細めた。




「や、……っ…ァ……、」

ローションで濡らした指を後孔に挿入し、徐々に慣らしていく。中指と人差し指が内壁を弄る。

「う、あ、…そ、こッ!やッ…」

前立腺を掠めたのだろう。達海の声が一段と上がる。女性と行うセックスとはまた別の行為に何となくコツをつかみ、余裕が出てきたジーノは、達海の胸も愛撫し始める。膨らみもない、板状の胸にちょんと主張する乳首を舌で転がす。


「ひっ、う、あ、ジーノっ…やだ、ッ、変!なんか、っ俺ッ」


ギュッと目を瞑る、そこから伝う涙。しがみつくように腕を回してくる。耳元でジーノ、と何度も自分を呼ぶ。そんな達海のあらゆることにジーノは更に煽られた。達海は、達海で迫りくる快感に戸惑う。熱くて仕方ない。何かが物足りない。でも、それがなんなのかなんてわからない。コワイ。快楽に溺れるとはこういうことなんだろうとぐちゃぐちゃになり始めた頭の片隅で思う。


「もう、いいかな、?」
「んッ、ジーノ、…挿れ、るっ?」
「…力、抜いてっ………そう………大丈、夫かい?」
「ぁ、ん、っ、だい、じょぶ……ぅ…」


元々、挿れるように出来た孔ではないため、苦しいがなるべく痛みを伴わないようにかなり配慮をしたつもりである。押し進めた性器は、達海の中ですぐにでも達してしまいそうである。ゆっくりと腰を沈めた。



「あ゛、…くっ…ふぁ、んッ」
「タッツ、…っ…」
「んんぁ、じ、のっ…も、っと………ジーノっ、ふあッ!…ああ゛」


随分とねだるのが上手だ、とジーノはくすりと笑った。何笑ってんだよ、と睨む達海の唇に軽くキスを落とした。可愛らしいねタッツミー。もう一度内心で呟いてから、律動を開始したのだった。


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