*もし達海とジーノが同じ時、ETUで活躍していたら


※全8頁
※原作内容若干含みます



◇◆◇




うっかりケアマネージャーに足の張りを呟いたら、意外にもことは大袈裟になってしまった。使いすぎだ安静にしていろ3日間は過度な運動はするな、なんて。ボールの感覚鈍るっつーの。それでもチームのメニューには参加出来ないので仕方ない、軽いランニングとボールタッチを済ませた達海はふらふらとETUの敷地内を歩いていた。松ちゃんや監督、煩いよなぁ。なんて愚痴を悶々と頭に浮かべていたところで、ふと足を止めた。

「へぇ、」

金網越しにサテライト内で紅白戦が行われている。その中で一人眼を惹く選手を見つけていた。出入口からお邪魔させてもらうと近くにいたコーチ陣の一人に声をかけた。

「ねー、なんでアイツこっち(サテライト)なの?」

コーチは達海の指の先を辿る。示した先の人物は、金ぴかのスパイクの紐を結び直している。近くでみると随分と色男であった。

「王子か」
「おうじ?」
「あだ名だ。本名はルイジ吉田。パスセンス、ドリブルは最高だ。すぐにでも上にあげてもいい逸材なんだが如何せん、本人のやる気がなぁ…」
「アイツ、やる気ないの?」

首を傾げるとコーチは困った顔をした。

「守備をしない。走らない。我が儘なお坊っちゃんだよ」


達海は話の人物を眼で追った。確かに。守備に全く参加をしていない。中央を悠々と歩いてやがる。じゃあ何故試合に出れる?そんな答えはすぐに見つかった。
チームが攻撃に移った瞬間、目の前で繰り広げられた光景は一瞬であった。奪ったボールはすぐさまアイツに渡ると逆サイドへ大きく振った。よく見えている。それからもう一度ボールが戻ってくるやアイツは鮮やかなボレーシュートを決めて見せた。

「うまいな」

達海の呟いた言葉にコーチも首を縦に振ったのだった。



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