「持田ー、アイスないの?アイスー」


首に腕をまわしてまとわりついてきた達海さん。見ると、口を尖らせて不満顔だ。今立ったのは自分で冷凍庫の中を確認しに行ったのだろうね。そういえばストックされていたカップアイスはこの前達海さんが家に遊びに来た時全部食ってしまったからなくなっているんだったっけ?買っておくの忘れてたわ。


「もー、なんでないの?」
「達海さん、拗ねないでよ」


ねー、アイスー、と子どものようにねだる達海さんに声出して笑うと、キョトンと俺の顔を窺ってきた。
達海さん、超可愛いんですけど。


「買いに行ってくるよ」


立ち上がろうとすれば、え?と小さな声が漏れたことに気がついた。

「いいよ、メンドイじゃん」
「食いたいんでしょ?コンビニすぐそこだしね」


だけどさ?こんな時間だし。と達海さんが壁にかかった時計に視線を移すからつられて俺も確認すれば時刻は只今23時40分。あと少しで今日も終わるな、なんて思った。


「すぐ行ってくるからさ。待っててよ」

なんて言葉と頬へキスを贈ってから立ち上がり、外は寒いだろうから上着を手に取って玄関へ向かった。
靴紐を結んでいると後ろに達海さんが付いてきていた。チラリと盗み見ると眠そうに目を擦っている姿が映る。帰ってきて寝てたら怒るから、と心の中で呟く。
玄関扉を開けると冷たい外気が室内へ入り込む。寒そう。こんな季節にアイスをわざわざ買いに行く自分超ウケる。目的であるアイスと、肉まんでも買おう。肉まん。温かいもん食いたい。


「俺も行く」
「マジ?珍しくない?そんなに待ちきれないの?」


めんどくさい、と大抵の場合で言いそう、実際先ほども洩らしていた人が珍しいじゃん。
達海さんは早々横をすり抜け、玄関を出る。
鍵を閉めてから振り返れば達海さんが手を差し出していて目を丸くした。ほら、早く、と急かす達海さんに笑みが溢れる。



「あはっ、んじゃデート気分で行っちゃう?」
「そのつもりだよ。こっちは」


ニヒヒ、と破顏する達海さん。

繋いだ手。
反対側の手はポケットへ。

達海さんの手を握っている方が断然あたたけぇや。




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