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──────はい、以上がここ数ヶ月の私の回想です。先程啖呵をきって火影室から出て来たまま、私は彼等の新しい住居へと足を進める。





その家は綱手様が自腹でイタチ達に買い与えたらしい。場所はうちはの敷地に。そこに行くため一楽の前を通ればサスケとナルトがラーメンを食べて談笑している後ろ姿が目に入った。…いや、あれは取っ組み合いかな?





─────でもどうやら、目的地には彼しか居ないようだ。何ていう絶好の機会だ。そう考えてついには駆け始めてしまった。











つい先日完成したばかりの彼等の家には着いた。正確には門の前だけれど。二人で住むにはあまりに立派で大きすぎる建物。一体この家を私は何回見ただろうか。そう考えながらインターフォンに向かって砂利を踏み歩く。───────────────────────────任務帰りの度にここへ来ては住人に声を掛けずに帰るの繰り返し。雨の日も、血にまみれた日も。勘のいいイタチなら私の気配に気づいているのかもしれない、それでも外に出て来ないのは彼の思いやりか、それとも────────────拒絶なのだろうか。







本当は今だって帰りたい、後ろに走り去りたい。だって、ほら、このインターフォンを押して姿を見せる君が私を見て顔を歪めたら……きっと冷静ではいられないから。でも今逃げてしまえば私に次はこれないかもしれない。それが嫌だから、私は此処に来たんでしょう?






『貴方が、もう一度側にいてくれるなら私は最低な女にもなれる、よ。』





ほら、昔みたいに遊びに誘うみたいに。





人差し指が、押した。家の中に響く来訪者の合図が私の耳にまで届く。





──────いーち、にー、さーん、しー…






イ「はい。」





ほら、貴方は昔と同じで五秒目に顔を出す。だから私も昔みたいに。





イ「!……椿。」



『ねぇ、イタチ。私が死ぬまでの三ヶ月、最期まで一緒にいて欲しいの。』





まるで一緒に学校へ行こうと誘うように私は目を見開く彼に微笑んだ。











─────変わってない事もある筈なのに、何故私達の距離はこんなにも離れてしまったのだろうか。何て嘆いても今更だよね。





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