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『ちょっと待って。頭に血が…』








1瞬で地面に降りてきた女の子、もとい椿だろうか。降りた勢いで彼女の足元には枯れ葉が舞い、踊っている。ゆっくりと腰を伸ばす彼女の身長は、俺の肩にも届かないくらいで、流れるように風になびく黒髪は胸辺りまでの長さだった。何処をとっても整っている彼女だが1番目がいくのは─────────────────────真紅の瞳。最初は写輪眼かと思ったが違った。もっと紅くて深い。吸い込まれる様な色。





カ「‥‥‥‥‥。」



『ね、聞いてます?』






いきなり覗き込まれて我に返ると、彼女の白く細い指が俺の右目にかかる額宛を上に上げた。





『あ、案外普通の人ですね。てゆーかイケメン?駄目ですよ、折角整ってるのに隠しちゃ。顔の3分の2隠してたら、只の変質者ですし。────────それに。』





私とお揃いの色だね、その瞳。そう微笑んでくる少女に見惚れてしまった。普段他人にこの額宛を触られただけで怒る俺が文句の1つもこぼさずに。18禁本を片手に立ち止まっていた。






『この本何ですか?教本はある程度読んだけど、これは知らないわ。』





俺の手中にある本に興味を持ったらしい彼女はソレを奪い去っていく。





カ「いや、それは…教本といえば教本だけど君にはまだ早いんじゃないかな。」





少し焦りながら言えば彼女の視線が強くなり俺を見据えつけた。





『私、君とかお前って嫌いなんです。椿、空咲椿です。貴方は?』



カ「あ、ごめん。俺ははたけカカシ。椿の先輩だよ。俺も暗部だから、一応ね。」



『ふーん。そうなんですか。お願いしますね、先輩。』



カ「いーえ。こちらこそ。─────ね、やっぱりその本はまだ。」






止めようと口を開けば彼女は既にとある1Pを開いていた。早く読もうと一生懸命に目を動かしている様子は何とも可愛い。だが、彼女の黒目はとまった。







顔面に走った衝撃は次第に痛みとなった。どうやら本を投げつけられたようだ。─────────────あーあ、折角の初版限定版なのに。





『最っ低!アンタそんな涼しい顔してこんなの読んでるの!?変態!女の敵!歩く18禁!!近寄るな!』



カ「ちょ、いきなり何よ。酷いな、敬語も外れてるし。」



『当たり前でしょ!アンタなんか敬う筈がない!』





真っ青な顔で数歩後ずさる彼女。────────────あ、何かヤバい。獲物見つけた肉食獣の気持ちが分かるかも。何かこう、追い詰めたくなる。






『ああ、もう!アスマなんか放って置けば良かった。』



カ「どーしてアスマ探してるの?」



『アイツが鬼ごっこで自分に勝てれば焼き肉奢ってやるって!なのに、目を離したうちに逃げたのよ!』






眉間に皺を目一杯寄せて地団駄を踏む椿。無意識なのかその足元には穴が段々と削り掘られていく。






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