今何故か跡部の顔がほんの数センチという近さの所にある。

「今度そんなこと言ったらその口塞いでやる」

私が言った言葉が何やら跡部の勘に触ったらしい。跡部はそう言って、私から離れてくれたが、怒りが収まらず、目の前で腕を組んで仁王立ちしている。何故そんなに跡部が腹が立っているのかが私にはわからない。どう考えてもこのことは私自身のことであって、私の課題でもあるのだろう。ただどうしようもなく捌け口が欲しくて少し跡部に愚痴ったらこの有様だ。

「田内」

口では言わないが、目の前でまさに俺様は怒ってますと言わんばかりな態度のまま跡部は口を開いた。

「今俺が怒っているのは、田内が自分自身を大事にしないからだ。お前が悩むのはわかる。だが、俺はお前のことが大事だから、田内が悩んでいることは一緒に悩みたい。だからといって俺が大事なお前を、お前自身が無下にすることは許さない」

跡部があまりにも真剣に話すものだから、思わず涙があふれ出てしまった。



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