あの保健室の出来事から1か月

あれから彼と目を合うたびに動揺してしまって挙動不審になっているようで、その反応を見てさらに跡部くんも笑っている。

・・・なんだか悔しい。

保健室で先生に相談したところで「青春ね」でまとめられたため、相談することをやめた。もう先生、生徒が本気で止んでるのに楽しまないでほしい。保健室の机にぐたーっと体を預けていると、思わぬお客さんがやってきた。

「・・・何でしょう」

にっこりと笑みを浮かべて目の前の椅子に座って私をみている彼に怪訝な目を向ける。「いや、な」と口元に手を当てて笑われて、顔をしかめる。なんなんだ一体。

「最近、跡部が機嫌がええから、どうかなと思って様子見に来ただけや」

おかしそうに話す彼にさらに眉間に皺が寄る。
・・・どうして跡部くんではなくて、私の様子を見に来るんだ。普通跡部くんの機嫌がいいなら、私じゃなくて彼の所に行くはず、私の所に来るなんて意味がわからない。テニス部は今私を集中して、いじるように指示でもされているのだろうか。

「いやいや、お嬢ちゃんが悪いわけではないから気にせんでええねんで」

お、お嬢ちゃん?!一瞬体がぞわぞわと背筋が冷えた気がしたけど、そんなこと気にせず彼は続ける。

「まあ、何ちゅうか、お嬢ちゃんをちゃんと見てみたかっただけやから」

ニコッと笑みを浮かべられた。

「まあ、跡部をよろしくしたってや」と、立ち上がり、私のを頭にポンと手を置いて去っていく忍足くん。「ほな、また」と去っていく彼を見つめ、ポカンと固まる。テニス部は女たらしが多いのか、と後で思い返しながら思ったのだった。





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