嘘から始まった関係

[なんかごめんな]

騒がしい休み時間が終えるチャイムが鳴り、先程とは違って急に静かになり授業が始まった。私の頭の中は授業のことが頭に入らなくて、さっきまでのことを思い返していた。
さっき丸井くんあんなこと言ったけど、勢いで言っただけだよね。付き合うなんて、ね。あの皆に人気者の丸井くんだよ?私と付き合うなんてそんなことあるわけないよね。さっきのは気のせいだよね。そう言い聞かせながら、黒板を見つめるも、再び同じようなことを頭の中で繰り返す。なんで私前の時あんなこと言ったんだろう。あの時そんな真剣に考えず言ったのに、こんなことになるなんて。

そんなことを頭の中でグルグルとずっと考えていると、いつの間にか授業が終わっていて、掃除の時間になる。案の定、友だちがまた絡んできて、さっきの話をされる。もうそれ以上言わないで!と思いつつ、友だちから逃げながら掃除の時間を終え、部活に向かう。しかし、いつの間にか噂は広がっていて、部室に入った瞬間に後輩たちからも色々と聞かれる。ああ、もう私が一番状況がわからないのに!

そんないつもより騒がしい部活を終わらせて、帰路につく。今日はなんて騒々しい一日だったんだろうと電車に乗って外をぼけーっと眺める。しばらくはこの話でいじられるのだろうなと思っていると、ポケットの携帯が震えた。

見覚えのないアドレスが表示され、誰だろうと思いながらメッセージを開く。

[いきなりごめん。今時間ある?]

そう書かれたメッセージにいたずらだろうかと思いながら画面を見つめていると、もう一度携帯が震えた。

[ごめん、丸井です]

と書かれたメッセージが届き、目を見開く。まさか丸井くんから連絡がくるなんて。なんて返したらいいかすぐに返せず固まっていると、再び携帯が震える。次は電話番号が表示されて、まさかと思って慌ててボタンを押した。

「急にごめん、今大丈夫?」

「う、うん」

スピーカーから聞こえたのは思っていたとおり丸井くんの声だった。

「あれからちゃんと話してなかったからさ。ちょっと話したくて。今帰り?」

「うん、丸井くんは?」

「俺も今帰ってるところ」

「そっか」

いきなりの電話になんて話を続けたらいいのか分からず、しばらく沈黙が続く。

「あのさ、その...なんかごめんな?」

「え?」

「ノリであんなことになってさ、気ぃ悪かっただろぃ?」

「いや、私は大丈夫だけど、丸井くんこそ気悪くしたでしょ?」

「気悪いって、そんなことねえよ」

ハハと電話から笑い声が聞こえる。

「みょうじさんがいいなら俺はいいよ。まあお試しと思って付き合ってみよっか」

電話口から聞こえた気軽に話す声に思わず私も小さく笑ってしまい、その後小さく頷く。

「え、無言?もしかして無理とか?」

焦った声が聞こえる

「いや、ごめん」

「え、」

「ううん、そうじゃなくて、よろしくお願いします」

勘違いさせてしまって焦って返答したら、「びっくりさせんなよぃ」大きく一息吐く声が聞こえて、その後二人して笑っていたのだった。


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