きっとこれはいつかわかることだった

丸井くんが先に去った後、私はぼんやりとした頭のまま家へ帰った。正直な話、帰っている間のことはあまり覚えていないのだが、ただ何かを考えるわけでもなく、頭の中ははっきりとせず、雲かかったような状態だったような気がする。家に帰ってからもぼーっとした状態は続いていて、夕食に母に呼ばれるまで時間が止まったかのように過ごしていた。夕食を食べて、リビングでお風呂まで過ごし、お風呂に入った後、自室のベッドに伏せるように倒れこんだ。

フラれたのか。いや、フラれたというのが、正しい表現なのかがよくわからない。私が仁王くんが好きで、それに丸井くんが気が付いて別れたのだから、フラれたという表現が正しいのかわからないが、表立ってはフラれたのと同じなのだろう。その後の丸井くんの言った言葉がどうしてもわからない。

仁王くんが、私のことが、好き?

そんなわけがない。あの仁王くんが私のことが好きなわけがない。だって相手はあの仁王くんだ。そして私だって仁王くんと付き合えるわけがないことぐらいわかっている。というか、付き合いたいと思っているわけではない。本音を言うと、クラスの中で誰が一番格好いいかと聞かれれば、本当は仁王くんだと私は思っている。だけど、そんなことを言えば、冷やかされることはわかっているし、高望みと思われても困るから、仁王くんと言えなかった。仁王くんは格好いいし、好きだけど、そんな付き合いたいとかそう思う対象ではなかったのだ。クラスの中で少し姿を見れるだけで、嬉しくなるような存在だった。ただ最近仁王くんと接する機会が多くなったから、その様子をみて、私の方はバレてしまったのかもしれないが、丸井くんが仁王くんが私のことを好きと勘違いしているだけだろうと思う。

けど、仁王くんが本当に私のことが好きだったら?

いやいや、そんなこと絶対ない。けど、そうだとしたら、私は付き合いたいのかな?嬉しい、嬉しいの、かな...

頭の中が思考が絡まるようにグルグルと回っているように感じる。考えては、さっきの丸井くんの言葉が浮かび、悩んでは、あの時の丸井くんの表情が浮かんでくる。

あの時の丸井くんの姿が頭に焼き付いて離れないのだ。


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