この世に彼にできないものなんてあるのか
そう私は思っていた。
「あーん?」
お前馬鹿か、とでも言いたそうにあきれ顔で跡部くんに返事を返された。
「そんなもの山ほどあるに決まっているだろう。お前この世の中にどれだけのものがあると思っているんだ」
「けど、跡部くんなら」
「俺はまだ中学生だぜ?俺の知っていることなんてこの世の中の一握りだ」
「私の知っていることはもっと知らないよ」
「あーん?なんでだよ」
「跡部くんよりも私が知っているとは思えない」
「ばーか。そんなのわかんねえじゃねえか」
「わかるよ」
跡部くんが私よりもすごい人っていうのはわかるし、金持ちだし、頭もいいし、世界の色んなところを知っているし
「ばーか」
「ば、ばかって2回言った...!」
「そうじゃねえんだよ、ばーか」
「3、回言った...!」
わからないけど、ばかを連発される。けど、その跡部くんの表情は冗談を言っているような感じではなかった。
「お前が何を言いたいのかわかるが、それは違うぜ?」
「え?」
「お前の言うように俺が何もかもを知っていたとしよう。もしそうだとしたらどうだ?俺はこれからどうしたらいい。この世の全てを俺の手の中にあるとしたら俺は何を目的に進めばいい。何のために上に行けばいい。俺はこのままでいいと思わねえ。もっと、もっと、もっと、俺は上に行かなければならねぇ。こんなんじゃ物足りねえんだよ」
彼は淡々と机に肘をつきながら話した。
「跡部くん」
「あーん?」
「跡部くんなら大丈夫だよ、きっと」
「ハッ、当たり前だ」
そういった声は自信に満ち溢れていた。
Life is in my hand.
いずれ全ては彼の手の中に...