「みょうじさんは何pなのかな?」

体育後、教室に戻り、座って一息つくと、先に座っていた柳くんに話しかけられた。

「・・・何、嫌味なの」

「すまない、少し気になってな」

眉を軽く下げながら言った柳くんに、もう一息吐き出した。

「言いたくなければ、言わなくてかまわない」

「そういうわけじゃないけど、前の方だからそれで察してほしい」

「フッ、そうか」

私の言葉に少し口角をあげて笑った柳くんに、口を尖らすが、柳くんはそれ以上は聞いてこなかった。

「そういう柳くんは何pなの?クラスで一番後ろ?」

「181cmだ、今は一番後ろだが、まだ皆成長期だからな。いつ抜かれるかはわからない」

「そういう柳くんだって成長期じゃん...」

確かにそうだな、と笑う柳くんに頬を膨らます。それ以上身長が伸びるなんて羨ましい、私なんてここ何年あまり伸びていないのだ。その柳くんの成長率を私に少し分けてほしい。そういう意味を少し含めて柳くんをじーっと見つめる。私の意図がわかったのかわからないが、柳くんは一瞬首を傾けた後、頬を緩めた。

「確かに、身長は伸びた方がいいかもしれないが、みょうじさんはそのくらいのサイズの方が可愛いと俺は思うが」

そう言って、柳くんは手を伸ばしてきて、私の頭にポンポンと2回ほど手を置いた。その後すぐにチャイムがなったため、柳くんは前を向いてしまった。一瞬だけ頭に置かれた感覚に照れながら、この身長でよかったかも、と少しだけ思った。


...いやいや、よくない。もう少し伸びたいよ!