「みょうじさんは授業が終わるとすぐに次の授業の準備をするのだな」
二限目が終わり、次の授業の支度をしていると、急に柳くんに話しかけられた。
「え?これ?」
「ああ」
「いや絶対っていうわけではないけど、しておかないと落ち着かないというか」
「ああ、すまない。褒めているつもりだったのだが、言い方が悪かったな。次の授業の支度をすぐにしておくことはいいことだ」
「あ、うん、ありがとう」
急に何故か褒められたので、とりあえずお礼を返す。
「けど柳くんもそうだよね」
チラリと柳くんの机の上に視線を移すと柳くんも机の上にすでに次の授業の教科書が置かれている。
「そうだな。俺も一種の癖のようなものなのだが、思っていたより先に準備している者が周りにいなくてな」
「そうかな?」
そうなのだろうか?私は先にしておかないと、授業直前に忘れ物をしていると気づいた時に焦って借りに行く羽目になるため、安心のため準備をしているのだけど、周りがどうとか気にしたことなんてなかった。教室をぐるりと見渡す。準備をしている人もいれば、せずに席から離れている人もいる。全員ではないけど、いるよね?んー、まあいっか。
「前もって準備をしておくことはその後の時間を有意義に使うことができる。そう思わないか?」
そう言いながら、机の中から本を取り出した柳くんに「そうだね」とよくわからないが返しておいた。
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