柳蓮二といえば、この学校で知らない人はいないというほど有名人ではないだろうか、と私は思う。

生徒会をしていて、テニスがうまくて、何より頭脳明晰。成績は、この学年でずーっとトップを取っている。彼のことを知っている人は多いけれど、名前程度で彼と知り合いっていう人は少ないだろう。私もそのひとりで名前は知っているけど、どんな人なのかよく知らないし、話もしたことがないと思う。逆に彼が皆のことをどの程度知っているかは知らない。

そんな柳くんが今回の席替えで私の隣になった。

席の所に行ったら目が合って、よろしくと軽く挨拶をすると、ああ、と返された。

やっぱり友だちじゃないから気まずい。けど、授業の時ぐらいだし、1ヶ月我慢をしたら席も変わるから、殆ど関わりなく終わるだろう。

休み時間に友だちのところに行くと、いいなぁと言われた。そりゃぁ、関わりがあればいいかもしれないけどさ、と返すと、見るだけでも目の保養と言われた。隣ならじっと横を向いている訳にはいかないから、目の保養も何もないのじゃないかとは思うけど。

そんな彼とのお隣さんな1ヶ月が始まった。