08 今日は偶にお日様が現れるぐらいの曇りのような晴れのようなよくわからない天気だ。 朝、いつものように登校し、鞄を机の横にかけて席に着いた瞬間、どこからか現れたオレンジ頭が前の席に座った。 「おはよう」 「おはよー」 ニヤッと笑った彼に一瞬顔を顰める。この表情はいつものニヤけ顔ではなさそうで、何だか嫌な感じがする。まあ、恐らく 「女の子に告白されたって?」 「うるさいなぁ」 昨日のことだろうけど。 昨日の朝、学校に来ると下駄箱に1つの手紙が入っていた。 今目の前にいるオレンジ頭のファンの子からの果たし状か?と思いながら、廊下を歩きながら手紙を開いた。そこには、とても可愛らしい文字が並んでいて、まさかとは思ったが、そのまさかだった。 そして放課後、手紙に書かれていた場所に行くと、文字と同じような可愛らしい女の子が立っていた。彼女の前に行くと、顔を赤められ、これはまた、と少し心が焦ったのがわかった。 そう、それは予想通り、告白というものだった。 「それで?」 前でニヤついている彼の頭を軽く一発叩く。 痛いなぁ、という声を無視して話を続ける。 どうやら彼女は私のことをずっと好きでいてくれていたらしい。最近髪を切った私を見て、何となく勘付いて手紙をくれたそうだ。 しかし、大変申し訳ないのだけれど、生憎私はそういう恋愛をする人ではない。勿論、女の子は可愛いし、好きだけど、恋愛対象としては見ることはできない。他の子に比べて長身な私だけれど、こう見えても女なのだと改めて思うのだ。 傷つけないようにできる限り丁寧に彼女の告白を断る。傷つけないように、と言っても、断る時点で傷つけてしまっていることには変わりないとは思うけれども、同じようについこの間失恋した私はその痛みというのは分からなくもない。だから、彼女が次の恋に行くことができるように、そう思って話したのだ。 「ふーん、いい話じゃない」 「あんまりそう思ってないでしょ」 「いやいや、思ってるよ!」 そう口では言っているが、少し飽きた口調で話す彼に、はあ、と大きくため息を吐いた。 「人に思われるって言うのは嬉しいけど、少しつらいって思う事もあるよね」 「千石がそんなこと言うとは思ってなかったよ」 「ひどい!」 俺だって思ってるよ!と口を尖らせながら言う彼を冗談を言いながら笑う。 「けど、まあ、」 「ん、どうしたの?」 「ん、いや、ね・・・なんでもない」 「なんだよー、気になるじゃん」 問いただす彼を無視して、一人で少しはにかんだ。 確かに失恋して悲しかったけどさ、こういう風に気軽にいられる人といたら、少しずつ癒えていくのかもしれないね 何なに、なんなのさー!と、騒ぐ彼にはそんなこと絶対に言ってあげないけどね。 「言わないというなら、よし、今ここでバラしちゃうぞ!」 「千石、今ここでシメられたいの?」 「・・ごめんなさい」 . |