10 「まあ、そんな感じだね」 結局千石とあんたどういう関係なのよ、と聞いてきた友人に簡単に千石とあったことを説明してみた。一通り軽く説明してみたのだが、返ってきた返事は ふーん だけで、こっちも反応しずらい。そっちから聞いてきたくせに、なんなんだその反応は。 「で、結局あんたたちは付き合ってるの、付き合ってないの?」 「だから、私と千石はそういうのじゃないんだってば」 千石と私はなんだかんだ腐れ縁であって、その間に恋愛要素は一欠けらもない。そりゃ、他の男子に比べたら千石には言いたいこともはっきりと言えるし、気兼ねなく接せられるけど、好きとかそういうのはない。あ、友だちとしての好きはある。だけど、男性としては、ね、うん、何か違うのだ。それはきっと私だけではなくて、千石もそう思っていると思う。だって、千石の私に対する態度は絶対に女の子に対する態度ではない。 本当にー?とまだ疑ってくる友人に、本当だってばと即答する。 「なつちゃん」 まだウダウダと言ってくる友人を適当に受け流していると、名前を呼ばれた。その方向に顔を向けると、千石が窓から顔を出して笑っていた。 「いいものあげるよ」 そう言って、窓から投げてきた何かを慌てて受け取る。 「これ、」 「先生から呼びだしちゃってさ、今から職員室行かないといけないんだよね。だから、少しの間持っていてくれない?」 すぐに取りに来るからさ、とごめんとでも言いたげに手を顔の前で合わせた後、走り去った千石を見て、はぁと息を吐き出しだ。 千石が投げてきたのはみかんで、手の中にあるそれを見つめる。まぁ、こんなのポケットに突っ込んだまま職員室に行ってバレたら怒られるだろうから気持ちはわからなくもないけどさ、私じゃなくてそこらへんの子に預けたらいいのに。もう一度、大きく息を吐き出した。 「・・・あんたたち、本当の所どういう関係なのよ」 「だーかーらー、」 何度言えばわかるのだ。 私と千石はただの友達である。 . |