01

昼休み、白石君に「一緒に食べようや」と手を引かれてやってきた屋上。隣に座っている彼の顔はとてもニコニコしていて、思わず顔を反らしてしまった。なんていうか、その、恥ずかしいんよ。こんなイケメンに嬉しそうにされたことなんか今まで一度もあらへんねんもん。照れるに決まってる。

「どないしたん?」

顔を反らした私を不思議に思ったのか、白石君は私の顔を覗き込みながら聞いてきた。

「なんでもない」

うわああ。内心焦りながらも、できるだけ冷静を装う。近い、近いよ。

「ご飯食べようや」

「う、うん」

持ってきていたお弁当を開き、「お、」と声を出した白石君は落ち着いていて、未だにこの状況を受け入れられずにいる私とは大違いだ。
どうして、白石君と付き合うことになったんだっけ?昨日の放課後、白石君と教室で会って付き合ってって言われて、逃走して、今日教室で好きやって言われて・・・うわあああ。って、あれ?私、返事していない?

「なあなあ、食べへんの?」

「え、あ、」

食べへんなら俺もらうでーと私が返事をする前に、入っていた卵焼きを箸で摘み、ぱくりと食べられた。白石君はと言うと、2段あったお弁当をもう食べ終わっていて、私の卵焼きを食べながらニコニコとしている。うわ、時間もいつの間にか結構たってるやんか。
なんで私ばっかり焦って、考えているんだ。

「田内さん」

「は、い」

そんな畏まらんといて、と少し眉を下げた彼は続ける。

「何考えとったん?」

「え、その、」

「俺な、田内さんのこと好きやねん」

「っ、あ」

「今は俺のこと好きやなくてもええねん」

「え、」

「けどな、絶対に俺のこと好きにさせたる」

「は、え、」

「大丈夫、田内さんは俺のこと好きになるよ」

「なんで」

「だって、」

今日ずっと俺のこと考えとるやろ?

ニヤリと私に顔を近づけながら言った言葉に顔が熱くなる。

ああ、なんか腹立つ。

せやけど、その言葉に何も言い返すことができなくて、ほらはよ食べらな時間なくなるでと言われ、俯きながら大急ぎでお弁当を口の中に詰め込んだ。


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