02

今日の目覚めは最高によかった。

昨日、自分の部屋に入ってすぐに布団の中に飛び込んだ。
やばい、顔のにやけが収まってくれへん。枕に顔を押さえ付けるも、俺の頭の中はかなりピンク色やった。それは勿論寝る前も同じ状態で、下半身を押さえながら耐える俺の妄想はいつも以上にひどかった。今日から彼女は俺の彼女なんや、そう思うと色々と堪らんかった。

「大丈夫か」

朝練でいつもと違うテンションの俺を見て、健が心配して声をかけてきた。まぁ、つまりあれや、にやけが止まらず、いつも以上にエクスタシーしとったんよ。せやかて、しゃないやん?朝目覚めた瞬間、田内さんが俺の彼女やって思い出してしもてんから。それを考えたら、朝からにやけが止まらへんかった。

練習が終わり、冷静を装いながらも早歩きで教室に向かう。朝の挨拶してもええんやんな?話しかけてもええんやんな?声をかけてくる奴等に適当に返事を返しながら朝一のことを考える。

「おはよう」

教室に入って声をかけてきたクラスメイトに返事を返すものの、視線は別のところに向いていた。迷うことなく見つけた姿に思わず口角が上がる。

…めっちゃ話したい。

沸き上がる気持ちを表情に出さんように押さえ付けながら、机の横に鞄を掛ける。
それでもやっぱり視線は外せんくて、俺に背中を向けてるその姿がもどかしく感じた。

「田内さん」

自然と彼女のいる方に体が行き、名前を呼んだ。
びくりと体を揺らして、振り向いた彼女はなんとも言えないほど可愛らしい。名前を呼んでから、どんどん速くなる鼓動はどうやっても止まってくれそうにもない。

何も言わず、口をパクパクさせている彼女にくすりと笑みを浮かべる。ああ、きっと混乱しとんのやろな。あー、ほんまかわええ。

彼氏宣言をすると、教室の中が騒がしくなった。ああ、そういえば、周りには知られてなかったんやった。浮かれ過ぎて忘れとったわ。

そんなことはどうでもよくて、さらに混乱している彼女は俺に顔を真っ赤にさせていた。

『なん、で』

あわあわとしながら尋ねていたことは恐らく[どうして付き合う話になったのか]という事やと思う。

そんなん決まっとるやん

一度彼女から目を逸らした。浮かんできた言葉は一つしかない。

好きやから

せやけど、その言葉を口に出した瞬間、体中が熱うなってきた。
うわ、メッチャはずい。なんやこれ。
今まで何回も頭の中で思っていた言葉やったけど、いざ本人に言うとなったらこんなに恥ずかしいもんやねんな。白石蔵ノ介、自分で思っていたよりも照れ屋さんやったみたいや。

けど、口に出したことによってこの気持ちは確信に変わる。本当に好きやったら、冗談ではこんな言葉言えへんもんやねんな。ホンマに好きやから、こんなにも熱うなるんや。

俺の言葉にさらに赤くなった彼女に俺の心がさらに熱くなる。
俺の言葉に照れてるんやな。喜んでくれてるんやろか、ドキドキしてくれてるんやろか、抱きしめてもええんやろか。あ、あかんあかん。それはさすがにあかんやろ。何考えてんねん俺。彼女になったからってさすがにまずいやろ。・・・・・かの、じょ。





あかん、やばい。俺の相棒が反応しそうや。


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